タイトル |
ミカンキイロアザミウマのバラ園における寄生の特徴 |
担当機関 |
フラワーセンター21あおもり |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
川嶋浩三
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発行年度 |
2000 |
要約 |
蕚の間から花弁が少しでも見えるバラの蕾では、ミカンキイロアザミウマ成虫の侵入と産卵が見られる。一方、花弁が見えない蕾では、成虫が見られず、産卵も認められない。多発生の場合には、早急に花弁が見える蕾を除去する必要がある。
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背景・ねらい |
ミカンキイロアザミウマが多発すると、薬剤の連続散布だけでは期待した防除効果が得られないことが多い。とくにバラの花では薬剤が内部に届かないため、花器の内部で本種が増殖し、次々と新しい蕾に拡散し、被害が拡大する。このため、バラの花における寄生の特徴を明らかにし、適切な防除方法を解明する。
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成果の内容・特徴 |
- 被害状況
(1)本種の多発園では、外側の花弁は褐変したり、黒ずみが生じ、奇形になる。蕚片には黒斑等も生じる。 (2)蕚の間から花弁が見える花では、蕚に接する花弁に小斑点状の変色が見られる。 (3)葉には被害がほとんど認められない。 - 花のステージ別のミカンキイロアザミウマ寄生虫数
(1)花弁が開いた花では、成虫密度が極めて高く、幼虫も確認される。蕚の間から花弁が見える状態の蕾では、成虫のみが確認される。花弁が見えない蕾では、成虫、幼虫とも見られない(図1,3)。 (2)卵は、花弁先端が開いている状態から開き気味の花でかなり多い。蕚の間から少しでも花弁が見える状態の花では卵が見られるが、花弁が見えない蕾には卵は見られない(図2,4)。 (3)従って、蕚から花弁が見えはじめる頃に成虫は飛来し、産卵すると考えられる。 - 花の部位別産卵数
(1)卵は、雄しべ及び雌しべには全くなく、花弁先端が開いている花でも、内部花弁が閉じていれば産卵されない(図5)。 (2)花のステージが進むと、内部の花弁からも卵が得られる。これらの花では外側に近い花弁の間に隙間があくため、成虫が潜り込んで産卵したと考えられる。 (3)蕚片内側からもかなりのふ化幼虫が見られるが、卵が蕚片と花弁のどちらに産卵されたかは不明である。
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成果の活用面・留意点 |
- 多発生に至らないような防除が第一である。
- 被害が甚大な場合、花弁が少しでも見られる蕾は早急に処分する。
- 花弁が見えない蕾を残し、以後適切に防除すれば、ミカンキイロアザミウマが多発した後でも継続的に良品の生産が可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
ばら
防除
薬剤
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