鶏肉の呈味成分の経時的変化からの出荷適期の推定

タイトル 鶏肉の呈味成分の経時的変化からの出荷適期の推定
担当機関 福島県養鶏試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者 生沼英之 
発行年度 2000
要約 鶏胸肉の呈味成分であるイノシン酸、遊離グルタミン酸及び破断応力の経時的変化を主成分分析した得点は、官能検査での評価とほぼ一致することから、理化学的分析によって出荷適期の推定ができる。同時に理化学的肉質評価法として活用できる。
背景・ねらい 福島県では高品質地鶏として会津地鶏、ふくしま赤しゃも(以下赤しゃも)を普及している。これらの肉質は一般的に官能検査で評価しているが、煩雑な面も多く、官能検査を補完する意味でも、理化学的評価が必要とされている。このため、HPLCによる遊離アミノ酸およびイノシン酸等の呈味成分分析や破断応力による肉質評価法を確立し、出荷日齢の適期を決めると共に、県産地鶏の肉質向上を図り市場評価につなげることを目的とした。
成果の内容・特徴
      
  1. 官能検査(シェッフェの一対比較)において会津地鶏の雄は120日齢、雌は120~130日齢が、更に、赤しゃもの雄は90~120日齢、雌は120日齢で総合評価が高かった。
      
  2. イノシン酸含量は、会津地鶏及び赤しゃも共に経時的に増加し、飼養日数との間に相関(会津♂0.87♀0.87、赤しゃも♂0.72♀0.94)が見られた。また、両鶏種とも雌のイノシン酸含量が高く、雌雄間に有意な差が見られた(図1)。
      
  3. 遊離グルタミン酸は、会津地鶏及び赤しゃも共に経時的に減少し、飼養日数との間に有意な負の相関(会津♂-0.70♀-0.91、赤しゃも♂-0.62♀-0.87)が見られた。鶏種間、雌雄間に差は見られなかった(図2)。
      
  4. 破断応力は、会津地鶏及び赤しゃも共に経時的に増加し、飼養日数との間に有意な相関(会津♂0.94♀0.90、赤しゃも♂0.90♀0.97)が見られた。鶏種間、雌雄間に差は見られなかった(図3)。
      
  5. イノシン酸、遊離グルタミン酸、破断応力の回帰推定値を主成分分析して得られた主成分得点は、官能検査の結果とほぼ一致した。すなわち、会津地鶏の雄で120日齢、雌で130日齢、赤しゃもの雌雄では共に110日齢が出荷適期と考えられた(表1)。
成果の活用面・留意点
     
  1. 理化学的分析によって、味の観点から肉用鶏の出荷適期が推定できる。
  2. 煩雑ではない理化学的肉質評価法により、肉質の判定基準として活用できる。
図表1 231734-1.jpg
図表2 231734-2.jpg
図表3 231734-3.jpg
図表4 231734-4.jpg
カテゴリ 出荷調整 評価法

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