タイトル |
盛岡市の放牧地と牛舎におけるCulicoides属ヌカカの主要種とその吸血源及び発生源 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1997~2000 |
研究担当者 |
吉田信代
大泰司誠(中国農試)
白石昭彦
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発行年度 |
2000 |
要約 |
放牧地と牛舎では、ミヤマヌカカ、シナノヌカカ、ナミヌカカ等15種のヌカカ類が採集され、そのうち6種はウシから吸血している。ミヤマヌカカは牛舎周辺の牛糞が混入した土壌から、マキバヌカカは放牧地裸地の湿った土壌から発生する。
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背景・ねらい |
Culicoides属ヌカカは牛の異常産や流行熱などの病原媒介虫として重要な吸血害虫であるが、ごく一部の種を除くと、その吸血源や発生源は明らかでない。そこで、ライトトラップによる発生調査とともに、その吸血源と発生源を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 東北農試(盛岡市)の放牧地および牛舎におけるヌカカ成虫の季節消長を青色蛍光灯を用いたライトトラップによって調査した。放牧地では5月上旬から11月下旬まで15種が捕獲され、ミヤマヌカカとシナノヌカカが多く、ナミヌカカ、ニワトリヌカカがこれに続いた(表1)。牛舎内においては4月下旬から11月下旬の間、12種が捕獲された。ミヤマヌカカが捕獲数全体の80%を占め、ナミヌカカ、シナノヌカカがこれに次いだ。また、季節消長は、ナミヌカカは6月から7月にかけて年1回の出現、ミヤマヌカカ、シナノヌカカ、ニワトリヌカカ、キブネヌカカ等は複数回の出現と推察された(図1)。
- 放牧地、牛舎、鶏舎及び緬羊舎で捕獲した吸血個体について酵素結合抗体法(ELISA)で吸血源を調べた結果、ミヤマヌカカ、シナノヌカカ、ホシヌカカ、マキバヌカカ、エゾヌカカ、マツザワヌカカがウシから吸血していることがわかった(表2)。
- 放牧地内の湧水地、流水及びその周辺の湿潤土壌からはウスシロフヌカカが最も多く発生し、次いで多かったのはキブネヌカカ、ホシヌカカであった。これまで発生源が不明であったミヤマヌカカとマキバヌカカについて、前者が牛舎周辺の堆肥置き場やパドックの牛糞が混じった土壌中から、後者は放牧地内裸地の日陰の湿潤土壌から発生することが明らかになった(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- ヌカカ類の防除や病原伝播に関する基礎資料となる。
- ミヤマヌカカは誘殺数に比較して発生源調査による捕獲数が少数であるため、ここで示された発生源以外でも発生している可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
かき
鶏
羊
防除
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