タイトル |
搾乳ロボット導入のための乳量水準 |
担当機関 |
岩手県農業研究センター企画経営情報部 |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
中森忠義
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発行年度 |
2000 |
要約 |
搾乳ロボット単独方式の場合、搾乳ロボットや牛舎等の取得資金を全額借り入れその償還が可能となる乳量水準は、経産牛1頭当たり8,480㎏である。所得は現状のまま同頭数のパーラー方式から移行するためには、経産牛1頭当たり15%の乳量向上が必要となる。ロボットに従来搾乳部門(経産牛12頭)を併用する方式では、8,010㎏、10%(乳量8,500㎏以上では5%)の乳量向上がそれぞれ必要となる。
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背景・ねらい |
搾乳ロボットを用いた自動搾乳システムは、酪農経営者の搾乳労働軽減のために開発され、実用化の段階を迎えた現在、全国的には酪農家への普及が少しずつ始まっており、本県においても酪農家の本システムへの興味は高まっている。一方で、ロボットの価格はミルキングパーラーと比較して高価であり、そのコストや導入条件を早急に解明することが求められている。畜産研究所においても、平成9年度にロボットが導入され、実用性と実用に際して克服すべき技術的な課題の検討が行われてきた。その3年間のデータをもとに、本県におけるロボットを採用した酪農経営のモデルを作成し、導入のために必要な乳量水準を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 搾乳ロボットの導入パターンを既存の報告ならびに現地調査から検討し、ロボット単独方式とロボット+従来搾乳方式に分類した。前者は、搾乳時間の短縮(パーラー比△82%)という大きなメリットがある一方で、飼養頭数はロボットの能力に規制され、経営が硬直的となることや、乳頭の配置や乳房の高さ等によるロボット搾乳不適合牛への対応など、ロボットのもつ欠点が直に現れ、経営的に不利な面もあると考えられた。後者はロボットによる搾乳に加え、パイプラインやパーラーなど従来の搾乳方式を持つ方式である。搾乳時間の短縮程度は前者より低下するが(パーラー比△55%)、ロボットによる搾乳不適合牛を搾乳することで損失をなくする事や、頭数の増加に柔軟に対応する事が可能であり、ロボットを利用した酪農経営の欠点を補うことが出来る。
- ロボット単独、ロボット+従来搾乳、パーラー、パイプラインそれぞれの方式について家族経営を前提にモデルを作成した。経産牛1頭当り乳量8,000キロ、乳価80円としたときの所得率はそれぞれ、11,12,19,20%である(表1,2)。なお、ロボット+従来搾乳方式の従来搾乳部門はパイプライン方式とし、その飼養規模は、同方式から移行した際の総労働時間が概ね等しくなる経産牛12頭とした。
- 搾乳ロボットの導入条件は、ロボット単独方式でロボット・牛舎の取得資金を借り入れ、それを償還できることとした場合(生計費800万円)、導入後経産牛1頭当たり乳量8,480㎏である。所得は現状のままパーラー方式から移行する場合、15%の乳量向上が必要となる。ロボット+従来搾乳方式では、償還が可能となる乳量水準は8,010㎏、パイプライン方式から移行する場合等において、パーラー方式と同額の所得を得るためには同方式より10%(乳量8,500㎏以上では5%)の乳量向上がそれぞれ必要となる(表3,4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 搾乳ロボットの導入による乳量の向上率は10~15%と報告されており、導入前の所得を維持するためにはロボット単独方式の場合、その上限である乳量の15%向上が必要となり、導入当初はロボット搾乳に従来搾乳を加える方式が安全であると考える。
- 今回のモデルは個人経営を対象としており、労働時間減少分の賃金換算などはしていない。また、技術的課題である周産期疾病や乳房炎・移行による損失などについてはその発生率等が明らかでないため、モデルでは考慮していない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
コスト
乳牛
ロボット
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