タイトル |
重粘土水田地帯における転作野菜の生産拡大方策 |
担当機関 |
秋田県農業試験場 |
研究期間 |
2000~2001 |
研究担当者 |
佐藤 功
澁谷 功
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発行年度 |
2000 |
要約 |
重粘土水田地帯における転作野菜の生産拡大を図るためには、排水改善や栽培管理用機械の作業受託、あるいはリース事業が必要である。また、機械化に適した圃場を野菜作農家に集積するための土地利用調整や、出荷率の向上等による新品目の産地化方策、農業労働力斡旋・調整等の地域内支援システムを構築する必要がある。
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背景・ねらい |
米生産調整が拡大する中で、秋田県の生産調整水田における転作等の利用は低位である。本県に多い重粘土水田地帯は、土壌条件等の制約から野菜産地化が遅れており、不利な条件を克服して、収益性の高い野菜作を導入するための方策が求められている。
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成果の内容・特徴 |
- 秋田県における米生産調整は、①野菜、花き等の比率・粗生産額比率が県平均を上回る「集約作物型」、②大豆、雑穀等の比率が高い「土地利用型」、③実質的生産が低位な永年性牧草や調整水田等の比率が高い「粗放管理型」に分類される。秋田県では、粗放管理型の比率が高く、転作野菜等の振興による利用率向上が課題である(図1)。
- 大内町の生産調整水田は小区画・不整型、排水不良が半数を占め、転作野菜の機械化のためには、圃場改善や土地の利用調整等の対策を要する。加えて野菜農家は、労力不足、野菜の低価格・価格変動大等を転作における問題点として重視している(図2)。
- 土壌表面の排水効果が高い籾殻補助暗渠の損益分岐点面積は、連担圃場で、10年間の長期利用する場合、7.8haである。乗用型管理機は、長期利用で、40haである。エダマメ等で培土、防除等1作3回利用の場合、13haの規模で経済的な利用ができる(表1)。
- 改善技術導入を想定し、経営タイプ毎の試算を行うと、専業型では、スイカを拡大し、エダマメやネギ(現地試験で改善技術を実証済み)を導入することで、農業所得で300~400万円の拡大が期待できる。経営耕地が2ha程度の兼業・女性中心農家の場合、労働力に応じて、スイカを拡大、エダマメやネギを拡大することで、86~170万円の所得増、ハウス経営の場合、冬期利用を拡大することで、さらに所得の増加が期待できる(表2)。
- 転作野菜拡大の改善策は、①排水条件を高める機械装備であり、これまでのバックホーに加え、籾殻補助暗渠機を追加装備する。②野菜農家に条件の良い圃場利用を集積するため、町、集落段階毎に土地利用調整の組織活動を展開する。③JA等が装備する籾殻補助暗渠機・乗用型管理機の作業委託、リース事業化を図る。④自給野菜中心から、エダマメ、ネギ等品目を絞って、出荷率を高め産地化する。それには、広域合併JAの出荷体制強化、道の駅での直売等チャネルを多角化する。⑤労力不足に対しては、地域内の雇用・被雇用希望を把握し、斡旋調整する地域システムを構築する、等である(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 乗用型管理機利用は、野菜に加えて、大豆等の土地利用型作物への利用を拡大すれば、より低コストでの利用が可能になる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
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