確率予報に基づく冷害対策の意思決定支援モデル

タイトル 確率予報に基づく冷害対策の意思決定支援モデル
担当機関 東北農業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 川上秀和
林 清忠
発行年度 2000
要約 確率予報等の気象予測情報を利用して、水稲の冷害対策技術の選択を支援するための意思決定支援モデルを作成した。モデルや分析結果の視覚的な表現を通して技術選択を検討することができる。
背景・ねらい 生産者が安定した水稲作を経営するためには、冷害等の気象災害に的確に対応する必要がある。その一つの鍵が気象等に関する予報の有効活用である。そこで、冷害対策技術の選択に関わる意思決定を、予測情報を利用しつつ支援するためのモデルを作成した。
成果の内容・特徴
      
  1. この意思決定支援モデルは、水稲の冷害対策技術の選択を支援するためのものである。このモデルがどのように利用できるかを示すために、気象庁による確率予報(気温)を用いてる農家が、あらたに深水を含むきめ細かな管理を実施すべきかどうかを検討している状況を例に説明する(表1)。結果(作柄)は「良」「並」「悪」「大災害」の4区分であり、過去の収量水準、農家の生産費(実績値)、農作物共済制度の存在等を前提に利得表が作成できる(表2)。Cは水管理に要する追加的作業時間から求められる水管理コストを表している。
      
  2. この水管理方式の選択問題を視覚化して理解するために影響図を利用した(図1)。長方形は意思決定者の選択を表す決定変数、六角形は代替案の評価に用いられる目的変数、楕円形は不確実性を示す機会変数、丸められた長方形は途中の計算過程等を表現する一般変数、台形は定数である。きめ細かな管理を実施する場合には、バルブの開閉、見回り、草刈り等において作業回数が増加すること、期待貨幣価値(EMV)は意思決定(決定変数)と天候(機会変数)に依存すること等を図解した。
      
  3. 分析結果を、水管理コストが10a当たり15,683円の場合(過去のデータから「高い」「平年並み」「低い」の各階級の出現率が30%、40%、30%となるように決められた気候的出現率を通る右上がりの破線の場合)を例に説明すると次の通りである(図2)。代替案「集約的(深水)」を選択すべき場合は、破線より下に位置する7つの予報が出されたときであり、代替案「慣行」を選択すべき場合は、破線より上に位置する7つの予報が出されたときである。ただし、隣接する2つの予報(例えば30:40:30と20:40:40)の違いは10a当たり約2千円である。
成果の活用面・留意点
     
  1. 各種の水稲冷害対策技術の選択を検討する際に利用することができる。その際、圃場整備状況等の現状を正確に把握する必要がある。
  2. 平成12年12月発表の3ヶ月予報から、気候的出現率は33:33:33とされるようになった点に留意する必要がある。
図表1 231751-1.jpg
図表2 231751-2.jpg
図表3 231751-3.jpg
図表4 231751-4.jpg
カテゴリ 経営管理 コスト 水稲 凍害 水管理

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