タイトル | ネイルエナメルを用いたアカヒゲホソミドリカスミカメの標識法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2001~2004 |
研究担当者 |
小林徹也 菊地淳志 |
発行年度 | 2001 |
要約 | アカヒゲホソミドリカスミカメ成虫の前胸背にネイルエナメルを点じる標識法は、成虫の生存と飛翔に与える影響が小さい。標識は肉眼で識別でき、かつ成虫の死亡時まで持続する。 |
キーワード | アカヒゲホソミドリカスミカメ、標識、ネイルエナメル |
背景・ねらい | 東北の主要な斑点米カメムシであるアカヒゲホソミドリカスミカメは雑草地で増殖し、成虫が飛翔して本田へ侵入し被害を与えると考えられる。このような生態の特性上、本種の防除のためには移動実態の解明が不可欠である。にもかかわらず、軟弱で微小な体構造をもつ本種においては、放飼と再捕獲のための実用的な標識法が開発されていないために、移動実態の解明が遅れている。よって、本種の飛翔と生存に支障のない標識法を新たに開発する必要がある。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本種成虫の前胸背にネイルエナメルを点じる標識法を新たに開発した。すなわち、零下10度で60秒間冷却して動作を緩慢にした成虫に対し、径0.9mmの針金で前胸背にネイルエナメルを点じて標識し、室温で回復させたのち種々の試験に供する。 2. 標識は肉眼で容易に識別できる(図1)。 3. ネイルエナメルは水に不溶性で脱落しにくい。室内試験では少なくとも成虫の死亡時まで標識は持続する。さらに、野外で放飼後9日間を経た個体においても標識部分の変色、退色は見られない。 4. 羽化日に標識した成虫の寿命と生存曲線は、非標識虫と比較して差がない(表1、図2)。 5. 室内試験の結果、標識虫の8割以上は問題なく飛翔する。 6. 識別の際に標識虫を殺す必要がないため、識別後継続して同じ個体を試験に供することができる。 7. 放飼の条件ごとに異なる色のネイルエナメルを用いることで、ひとつの試験区内で放飼条件の異なる放飼虫を共存させることができ、複雑な試験設計が可能である。 8. 放飼と再捕獲の試験に適したカスミカメムシ類の標識法は、これが初めてである(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本標識法を利用することで、アカヒゲホソミドリカスミカメの野外での放飼と再捕獲の試験が可能となる。 2. アカヒゲと同様の体構造をもつ他のカスミカメムシ類にも応用が可能である。 3. 本標識法は習得が容易で、ひとり1時間あたり50個体以上の標識が可能である。 4. 本種の新しい和名としてイネホソミドリカスミカメが提唱されているが、一般にも広く知られているアカヒゲホソミドリカスミカメの名称を用いた。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 カメムシ 雑草 斑点米カメムシ 防除 |