根圏部加温によりイネ穂ばらみ期障害型不稔が減少する

タイトル 根圏部加温によりイネ穂ばらみ期障害型不稔が減少する
担当機関 (独)農業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 1996~2002
研究担当者 櫻井淳子
岡田益己
発行年度 2002
要約 最も冷温感受性の高い穂ばらみ期に根圏部を加温すると、障害型不稔の発生程度が減少する。
キーワード 水稲、穂ばらみ期、障害型不稔、根圏部加温
背景・ねらい 平成5年の大冷害により東北の稲作は大被害を受けた。しかし被害が軽減された事例として、根の発達程度の違いや、有機物連用による土づくりと適切な施肥管理の組み合わせ等が報告されており、冷害時における根と根域環境の機能(以下、根圏機能と呼ぶ)の重要性が指摘されている。
本研究では冷害時における根圏機能の重要性を明らかにするための一試験方法として、最も冷温感受性の高い穂ばらみ期に根圏部を加温することにより人為的に根圏機能を変化させ、障害型不稔発生への影響について検討する。
成果の内容・特徴 1.
縦横1m、深さ60cmの大型水槽に深さ40cmまで土を充填し、ササニシキを移植し栽培する。幼穂形成期から地上部に19.5℃の冷水をかけ流して障害型不稔を誘発し、同時に水槽底部のパイプに温水を流すことにより根圏部を加温する(図1)。この装置を用いると、パイプに27℃の温水を流した根圏加温区で土壌中心部の温度が約24℃となり、パイプに水を流さない無処理区と比べ根圏部を約4℃加温することができる。なお地上部にかけ流した冷水の温度は、無処理区、根圏加温区ともに19.5±0.1℃以下の精度で制御されており、根圏部温度処理の有無によって影響を受けない。
2.
根圏加温区は無処理区に比べて稔実率が高く(図2)、穂ばらみ期の根圏部加温により障害型不稔が減少する。なお試験年度間で稔実率が異なるのは、施肥及び地力窒素の違いにより体内窒素濃度が異なるためであり、窒素濃度の高い2000年度試験では根圏部加温による稔実率増加が顕著である。
成果の活用面・留意点 1.
本成果は、深層地温により人為的に根圏機能を操作すると穂ばらみ期障害型不稔が減少する可能性を指摘するものである。地温と障害型不稔の関係を明らかにするためには、冷害軽減田での地温の変化や土壌管理と地温の関係等の実態調査が必要である。
図表1 231830-1.gif
図表2 231830-2.gif
カテゴリ 土づくり 温度処理 水稲 施肥 凍害

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