タイトル | 雪室を利用したオウトウの年末年始超早期出荷技術 |
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担当機関 | 山形県農業研究研修センター |
研究期間 | 1996~2002 |
研究担当者 |
近野広行 駒林和夫 荒沢直樹 高橋和博 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 発芽前のオウトウを-3℃の雪室で貯蔵し、9月下旬から3℃前後で順化した後、10月上旬から加温ハウス栽培を行うことにより、年末年始出荷が可能となる。さらに、収穫後のオウトウを5月上旬から3℃の雪室で貯蔵し、10月上旬から加温ハウス栽培を行えば、同一樹による年末年始出荷を繰り返すことができる。 |
キーワード | オウトウ、雪室、年末年始出荷、抑制栽培 |
背景・ねらい | 付加価値の高いオウトウの年末年始出荷を省力かつ経済的に行うため、多雪地域の地域資源である「雪の冷熱エネルギー」を活用した栽培管理技術を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 操作1年目(図1、表1) (1) 自然条件下で自発休眠から覚醒した状態で発芽前のオウトウ樹を-3℃前後に設定した雪室に入庫する。 (2) 雪室内の乾燥を防止するため、オウトウ樹の周りをビニールフィルム等で覆う。その内部に凍結しない程度に加温した水を設置するか、定期的に散水を行う。 (3) 上記の状態を9月下旬まで持続した後、1~2週間程度、3℃の冷蔵施設で順化する。 (4) オウトウ樹を10月上旬に出庫した後、加温ハウス栽培に準じた管理を行うことで、年末年始頃の出荷が可能である。 2. 操作2年目以降(図1、表1) (1) 年末年始に収穫を行ったオウトウを加温ハウス内で管理した後、4月下旬から5月上旬ごろに、3℃前後に設定した雪室に入庫する。 (2) 雪室内の湿度が85%を下回る場合には、オウトウ樹の周りをビニールフィルム等で覆い乾燥を防止する。 (3) 上記の状態のまま10月上旬まで持続した後、オウトウを出庫し、加温ハウス栽培に準じた管理を行うことで、年末年始頃の出荷が可能である。 3. 品種ごとの収穫時期と果実品質(表2、3) (1) 品種の組み合わせにより、「佐藤錦」では12月末~1月中旬頃の収穫が可能であり、「紅秀峰」では1月上中旬~1月下旬の収穫が可能である。 (2) 年末年始出荷の果実はやや小玉傾向であるが、糖度が高く食味は良好である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 使用するオウトウ樹は雪室への搬入、搬出のためポット栽培である。 2. 操作1年目では乾燥防止に注意が必要であり、操作2年目以降では乾燥防止のほか、過湿によるカビの発生を防ぐため、ビニールフィルムで覆う場合は密閉を避ける。 3. 結実確保のために貯蔵花粉を使用して人工受粉する。 4. 年末年始に収穫した後の管理では、3月以降、ハウス内が高温になりやすいので注意する。 5. 当該技術の一部は山形県が特許出願中である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | おうとう 乾燥 栽培技術 出荷調整 受粉 品種 良食味 |