タイトル | 広域JAを中心とした大豆の生産・販売一貫体制 |
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担当機関 | 秋田農試 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
佐々木和則 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 広域JAを中心とした大豆の生産・販売一貫体制は、集団対応による生産を可能とし、ユーザーの意向を踏まえた加工販売に結びつけることが可能である。また、商品評価を効率良く生産部門へ伝達できることから、改良のための新品種導入や新商品提案がスムーズに行える。 |
キーワード | 大豆、広域JA、集団、生産・販売一貫体制 |
背景・ねらい | 「水田農業経営確立対策」を背景に秋田県の大豆作付面積は増加し、一旦は崩壊した地域の大豆生産組合の再結成が進んでいる。そこで、平成12年から広域JA(AH農協)が生産・販売一貫体制に取り組んだ事例について整理し、管内であるK村の地域大豆生産組合の支援方向と、商品開発に際しての要点、販売開始以降の利点について明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 大豆の生産・販売一貫体制は、広域JAを中心とした集団対応による生産と加工販売への取り組みにより、各町村・各集落単位の多元的生産を一元的にし、無人ヘリ防除組合・行政・関係機関との連携やユーザーの意向を反映した加工販売に結びつける事が可能となる(図1)。 2. 地域大豆生産組合が大豆栽培を続けていくために必要な条件は「安定した転作助成制度」であり、再結成された大豆生産組合においては「省力低コスト生産・高品質生産体制」の技術支援が必要である(図2)。 3. 「省力低コスト生産」のためには集団による栽培への対応が必要で、個人対応に比べ所得は10aあたり3万3千円程度高く、労働時間は3.9h/10aで11時間省力となる。賃借料料金の一部は、オペレーター組合等を構成する地域の担い手へ作業料金として支払われることから、委託者・受託者ともメリットは大きい(表1)。また、集団対応により、肥培管理や収穫・乾燥・調製が同条件になることから、「高品質生産体制」も可能となる。 4. 広域JAにおける商品開発(業務用豆乳)に際しての要点は次のとおりである(表2)。 1) 現有の販売チャネル活用:現有の食肉加工品等の業務用販売チャネルを活かし、ニーズの把握やプレゼンテーション・試食会を実施した販売展開が可能。 2) 原料を大量に利用:地場産の大豆原料は豊富に存在することから、大豆の風味や特徴を活かす商品とし、地場産の利用拡大が可能。 3) 通年した加工・販売が可能な商品の選択:商品の長期保存が不可能な商品とすることで、加工施設の稼働率が向上し、ユーザーと接する機会も多くなり信頼関係が構築しやすい。 4) 最終商品形態ではなく、1次加工的な商品:業務用への各種食品提案が可能となり、幅広い利用用途が期待される。また、家庭消費向けに比べ販売促進費を抑えることが可能。 5) 独自の加工製法を導入:研究機関と共同で加工製法を開発し、他の製造業者の参入を防止するとともに、持続的な加工・販売が可能。 以上、現有の業務用販売チャネルを有効活用した特徴ある商品開発により、販売以前に試食会等を実施してユーザー獲得したことがポイントとなる。 5. 生産・販売一貫体制は、ユーザーからの商品評価を効率良く生産部門へ伝達でき、改良のための新品種(リポキシゲナーゼ欠失大豆等)導入や新商品提案がスムーズに行える(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 大豆栽培の定着と加工販売の支援方策を検討する場合に活用できる。 2. 広域JAは、主要大豆作業機械の装備や乾燥調製施設が必要で、加工品製造の技術や知識・コスト試算など、各方面の情報を持って取り組む。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 加工 乾燥 技術支援 経営管理 コスト 新品種 水田 大豆 低コスト 肥培管理 防除 |