タイトル | 減農薬栽培技術の評価と定着条件 |
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担当機関 | 山形県立農業試験場 |
研究期間 | 2001~2002 |
研究担当者 |
鈴木 洋 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 減農薬栽培技術の評価は、技術導入に伴う生産リスクの視点(生産視点)、生産物の差別優位性に基づく消費価値の視点(消費視点)、環境に及ぼす負荷軽減としての公的価値の視点(環境視点)から総合的に行う必要がある。技術の定着条件は、リスクと価値評価が均衡することである。 |
キーワード | 減農薬栽培、生産リスク、消費価値、負荷軽減 |
背景・ねらい | 露地メロンにおける耕種的防除等による化学農薬使用低減栽培(以下「減農薬栽培」)技術の開発において、技術評価の視点や評価手法を明らかにし、開発技術の普及拡大に資する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 資材利用や耕種的防除法による減農薬栽培技術の評価においては、生産の視点、消費の視点及び環境負荷等の環境視点から総合的に行う必要がある。(表1) 2. 生産視点では、コストアップや労働過多、精神的負担等のリスクは生産者の負担となるため、新資材・新技術投入による減農薬栽培技術は、技術がもたらす効果がリスクを上回るような経済的な水準点において、導入の検討がなされる。 3. 消費者は減農薬栽培技術によって生産された農産物に付加価値を認めているので、価格の上乗せや購買頻度の向上など消費価値を評価する必要がある。消費価値の増加には、生産者の顔がみえる直接販売や生産履歴等の情報付与販売等の付加価値を訴求するマーケティング手法が有効である。(表3) 4. 減農薬栽培技術が導入されるために必要な条件は、生産リスクと消費価値の評価の視点において、次式1が成立することである。 生産のリスク ≦ 消費の価値 ・・・・・ 式1 5. さらに、環境への負荷軽減や保全作用としての公的な価値も存在することから、これらも含めた総合的な評価がなされるべきである。このことから減農薬栽培技術が定着普及する条件としては、次式2が成立することであり、公的価値に対する支援により、普及が加速する。 消費の価値 + 公共の価値 ≧ 生産のリスク ・・・・・ 式2 6. 露地メロンの耕種的防除による減農薬栽培技術体系を評価した結果(表2)、消費の価値が生産のリスクを上回り、技術普及の可能性が認められる。 |
成果の活用面・留意点 | 生産視点における評価に加えて、消費視点及び環境視点を加味した総合評価を行う評価基準の設定や評価マニュアルを作成することが有効である。 環境負荷軽減等の公的価値の評価については留意する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 コスト 栽培技術 農薬 評価基準 防除 メロン |