晩生良質糯水稲新品種「もちむすめ(東北糯175号)」の育成

タイトル 晩生良質糯水稲新品種「もちむすめ(東北糯175号)」の育成
担当機関 宮城県古川農業試験場
研究期間 1993~2002
研究担当者 永野邦明
松永和久
滝沢浩幸
早坂浩志
薄木茂樹
黒田倫子
千葉文弥
宮野法近
佐々木都彦
遠藤貴司
発行年度 2002
要約 水稲「もちむすめ」は寒冷地中部では晩生の早に属し、耐冷性、いもち病抵抗性、耐倒伏性、耐穂発芽性が「こがねもち」に優り、つき餅の食味が「こがねもち」並みに優れる良質糯米系統である。宮城県で奨励品種に採用され、高品質糯米の安定生産が期待される。
キーワード 水稲、奨励品種、もちむすめ、晩生の早、耐冷性、耐倒伏性、糯米
背景・ねらい 宮城県では、晩生糯の「こがねもち」(宮城県での名称は「みやこがねもち」)を奨励普及しているが、「こがねもち」は穂発芽や倒伏による品質低下が著しく、いもち病抵抗性や耐冷性も弱いため安定生産が課題である。そこで「こがねもち」に替わる、耐穂発芽性・耐冷性・耐倒伏性・耐病性に優れる、良質良食味で加工適性の優れる晩生糯品種の開発を目指す。
成果の内容・特徴
  1. 「もちむすめ」は、宮城県古川農業試験場において、晩生の耐冷、耐病、良質糯品種を目標とし、「こがねもち」を母、「東糯588」を父として、1993年4月に人工交配を行い、その後代から育成した系統である。
  2. 出穂・成熟期は「こがねもち」よりやや遅く、育成地では晩生の早である(表1)。
  3. 「こがねもち」に比較して、稈長は短く、穂長はやや長く、穂数は同程度で、草型は“偏穂重型”である。耐倒伏性は「こがねもち」より強く、収量性は「こがねもち」並みかやや劣る(表1)。
  4. いもち病真性抵抗性遺伝子型は“+”と推定され、圃場抵抗性は葉いもち・穂いもちともに“中”、障害型耐冷性は“強”、穂発芽性は“やや難”で、各特性とも「こがねもち」に優る(表1)。
  5. 玄米千粒重は「こがねもち」よりやや小さく、玄米の品質及び白度は「こがねもち」並である。つき餅の食味は、粘りが強くこしがあり、味・香りとも良好で「こがねもち」並みの極良である(表1、2)。
  6. つき餅の白度及び硬化性は「こがねもち」とほぼ同程度で、加工適性は高いと考えられる(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 宮城県で奨励品種に採用され、平坦地帯の「こがねもち」の一部に替えて普及が見込まれる。普及見込み面積は600haである。
  2. 籾数不足や玄米の小粒化により収量が低下する傾向があるので、適期追肥により収量を確保する。
  3. いもち病圃場抵抗性が“中”なので適期防除に努める。
  4. 穂発芽性は“やや難”であるが刈り遅れに注意し、適期収穫に努める。
図表1 231917-1.gif
図表2 231917-2.gif
図表3 231917-3.gif
カテゴリ 病害虫 いもち病 加工適性 くこ 新品種 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 防除 良食味

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