タイトル | カーネーションの新品種「ポーレッド」及び「ユアレッド」の育成 |
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担当機関 | 秋田農試 |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
新井正善 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ピンクの品種「ノラ」から培養変異選抜により、赤色の新品種「ポーレッド」及び「ユアレッド」を育成した。「ポーレッド」は花が大きく花弁数が多い、「ユアレッド」は萼割れがない、などの特色をそれぞれ持つ。 |
キーワード | 茎頂培養、培養変異選抜、カーネーション、品種育成 |
背景・ねらい | カーネーションは主要切花の一つであり、年間を通して需要が多い。生活様式の変化とともに多様な品種が求められている。また、近年の景気低迷により切花単価が下落しており、低コスト生産が必要となっている。しかし、市販品種のほとんどが登録済みであり、苗代に占めるパテント料の比率が高い。そこで未登録品種を改良する培養変異選抜法により県オリジナルの品種を育成し、県内産地の特色化及び生産コストの削減を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 茎頂培養時にNAA 0.5mg/Lを添加して多芽体を得、その後無添加の培地で継代することにより、ピンクのスタンダード品種「ノラ」から114個体を再分化し、5つの培養変異個体を見いだした。これらを挿芽繁殖し、鉢栽培で形質調査した結果、この中から赤色に変化した2系統を選抜した。ウイルスフリー化及び栄養繁殖後、特性調査を繰り返して形質の安定性を確認し、「ポーレッド」及び「ユアレッド」を育成した(図1)。 2. 「ポーレッド」は花色が鮮赤(カラーチャート0407)で、花弁数が多い大輪スタンダード品種である。主力の赤色品種「フランセスコ」と比較して赤みが強く、いかなる照明下でも鮮やかに見える特徴を持つ。草丈が高いため切花栽培しやすく、4月上旬摘芯の無加温栽培で7月下旬に開花する早生の晩であり、県内の主要作型である2月定植の夏秋切りに適する(表1)。 3. 「ユアレッド」はやや花弁数の少ない大輪スタンダード品種で、花色は紅に近い明赤(カラーチャート0406)で、「ポーレッド」と同様にいかなる照明下でも鮮やかに見える。切花長や節間が長く切花として優れた特性を持つ。葉が小さく節数が少ないため、作業性に優れ、密植栽培が可能であり、萼割れがなく商品化率が高い。4月上旬摘芯の無加温栽培で6月下~7月上旬開花の早生品種である。また、開花期がそろう特徴を持つため、集中的な採花に適し、母の日に向けた加温栽培や市場で高品質の切花が不足する夏期の短期切りに有利である(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. いずれの品種も立枯病抵抗性を確認していないので、定植前の土壌消毒が必要である。 2. 「ポーレッド」は夏期の高温時に萼割れが発生しやすく、花が大きいため首折れしやすいので、萼割れ防止テープを巻く、こまめに換気する、灌水量を控えるなどの栽培管理を行う。 3. 「ユアレッド」はやや茎が細いため、灌水量を控えて硬めの茎にするよう心がける。 4. いずれの品種も花粉はないものの、稔性花粉を受粉させると発芽能力のある種子を形成するため、交雑等による品種育成の母本としても利用可能である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | カーネーション カラー くこ コスト 栽培技術 受粉 新品種 立枯病 抵抗性 低コスト 土壌消毒 繁殖性改善 品種 |