組織培養を利用したミョウガの無病種株生産

タイトル 組織培養を利用したミョウガの無病種株生産
担当機関 秋田農試
研究期間 1996~2002
研究担当者 佐野広伸
発行年度 2002
要約 根茎腐敗病に感染していないミョウガの苗を生産するため、培養容器内で個体を増殖する技術を確立した。増殖倍率は2カ月あたり3倍である。増殖した個体は隔離土壌で養成する。これを新規の露地圃場に定植し1~2年間栽培すると種株として利用できる。
キーワード 組織培養、ミョウガ、根茎腐敗病、増殖
背景・ねらい 秋田県北地域には200haを超すミョウガ産地があるが、30~70%の圃場で根茎腐敗病が発生し、新植地でも種株由来と考えられる病害が見られている。そこで、根茎腐敗病対策の一環として健全な種株を確保するため、組織培養技術を利用した無病苗の作出と増殖方法を確立する。
成果の内容・特徴 1.
0.5~0.8mmの茎頂を培地に置床して4カ月培養する(図1)。茎葉が伸長した個体を増殖培地に移植し、2カ月培養すると複数の芽が形成する(図2)。2カ月毎に1芽に分割し、同一培地への移植を繰り返す。移植毎の増殖倍率は約3倍であり、順化必要数を確保する。順化後の生育を良好にするため、1芽ずつに分割し順化前培地で1.5~2カ月培養する。
2.
順化は2週間かけて徐々に湿度を下げて行う。順化した原々苗は、5月下旬に汚染土壌から隔離するためプランターなどに移植して養成する(図3)。養成した株は、翌年3月に掘り取り調整し原苗とする。1株より10~20本の苗が得られる。原苗の一部は再度プランターに移植して増殖用株として利用する。
3.
原苗は圃場に定植し、1~2年間株養成した後、種株として利用する。1年養成で1株より10~20本の苗が得られる。
4.
定植3、4年目の培養株の花蕾収量は、在来株より10~20%高い(図4)。また、4カ年の栽培では、培養変異が認められない。
5.
培地及び培養条件は以下のとおりである。
茎頂培養:B5培地、0.2mg/l NAA、1mg/l BA、30g/lショ糖、pH5.8、2g/lゲランガム
増殖培養:MS培地、0.2mg/l NAA、7mg/l BA、30g/lショ糖、pH5.8、2g/lゲランガム
順化前培養:MS培地、0.2mg/l NAA、30g/lショ糖、pH5.8、2g/lゲランガム
培養条件:25℃、1,000~3,000 lux、16時間照明
成果の活用面・留意点 1.
試験には「能代在来」系統を用いたが、他の系統にも適用可能と考えられる。
2.
得られた技術は能代市農業技術センター、能代西高校に移転しており、種苗生産が行われている。
3.
栽培は殺菌土壌、病害の発生の恐れのない圃場で行い、灌水には水道水を用いる。
4.
砂丘畑への定植は、降雨後でも作業可能なこと、掘り取り後の洗浄が不要であること、病原菌が持ち込まれても被害が拡大しにくいことなどから有利であるが、灌水設備が必要である。
図表1 231933-1.gif
図表2 231933-2.gif
図表3 231933-3.gif
図表4 231933-4.gif
カテゴリ 栽培技術 みょうが

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