タイトル | 秋田県におけるリポキシゲナーゼ全欠失大豆新品種「すずさやか」の採用 |
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担当機関 | 秋田農試 |
研究期間 | 1998~2003 |
研究担当者 |
田口光雄 佐藤健介 井上一博 佐藤泉 佐々木和則 佐藤雄幸 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 大豆新品種「すずさやか」(東北135号)は、「タチユタカ」と同程度の成熟期で”中の晩”に属する。収量は「タチユタカ」より多収で百粒重はやや小さい中粒種である。子実は青臭みの原因となる全リポキシゲナーゼが欠失しており、青臭みがない豆乳や豆腐に加工できる。秋田県において平成15年度に大豆認定品種に採用予定である。 |
キーワード | ダイズ、青臭み、リポキシゲナーゼ全欠失、豆乳、豆腐 |
背景・ねらい | 近年の大豆生産対策と水田転作強化により、大豆の作付面積及び生産量は急激に増加し、需要量に比べ供給量が過剰となるミスマッチが生じている。このため入札価格は低下傾向にあり、販売困難な銘柄もみられ、今後も厳しい販売競争が予想される。このような状況のもと、生産現場では特長のある「売れる大豆」が求められている。このことから新しい形質を備えた大豆品種の選定が要望されている。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「タチユタカ」に比べて、開花期は4日程度遅く、成熟期は同程度の”中の晩”に属する。「タチユタカ」並の成熟期であることから、晩播適応性は小さい(表1)。 2. 「タチユタカ」に比べて主茎長は長く、倒伏抵抗性は「タチユタカ」より弱い(表1)。 3. 子実重は「タチユタカ」より多く、「リュウホウ」より少ない。百粒重は「タチユタカ」よりやや小さい中粒種である(表1)。 4. 播種密度が高まると主茎長は長くなり、倒伏程度が高くなる。また収量は減少し、品質は低下する(表2)。 5. 大豆子実中のリポキシゲナーゼの3つのアイソザイム(L-1,2,3)が欠失しており、豆乳や豆腐は青臭みがなく、食味総合評価が良好である(図1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 秋田県では平成15年度に認定品種に採用予定である。 2. 栽培地域は県内平坦部で可能で、普及見込み面積は100ha程度である。生産と加工・販売が結びついた地域及び団体、契約栽培が望ましい。 3. 普通大豆など他品種と2%程度の混種によっても青臭みが生じるため、収穫・乾燥・調製作業時に混入しないよう注意し、種子や生産物の純度を高める。 4. リポキシゲナーゼ欠失性は、他品種との混種や交雑により失われるため、単一品種による集団栽培を行う。 5. リポキシゲナーゼ全欠失性を損なわないよう種子の更新を図る。 6. 熟期がタチユタカ並であるので、晩播には向かない。また、主茎長が長くやや倒伏しやすいことから、多肥栽培や極端な密播は避ける。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 加工 乾燥 新品種 水田 大豆 抵抗性 播種 品種 良食味 |