タイトル | 早春まき栽培または防虫ネットでキャベツの殺虫剤散布を省略できる |
---|---|
担当機関 | 岩手農研セ |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
佐藤千穂子 高城保志 |
発行年度 | 2003 |
要約 | キャベツ栽培において、4月上旬までの定植(早春まき栽培)ではべたがけとペーパーポット育苗による生育期間の短縮によって、また通常の初夏~夏秋採り栽培では1×1mmの防虫ネットの利用によって、殺虫剤の使用を省略できる。 |
キーワード | キャベツ、早春まき、防虫ネット、鱗翅目害虫 |
背景・ねらい | キャベツ栽培においては鱗翅目害虫の防除が重要であり、岩手県内の現状では1作あたり初夏採りで4回、夏秋採りで6回程度の殺虫剤散布が行われている。また、県内のキャベツ生産者を対象とした意向調査では、「有効な技術であれば減農薬栽培に取り組みたい」との回答が多く得られている。 そこで、これら害虫の防除について農薬代替技術を確立し、特別栽培農産物生産やエコファーマーのための支援技術とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 早春まきの初夏採り栽培において、べたがけに加え72穴ペーパーポット苗による生育期間の短縮を組み合わせ害虫の食害を回避することにより、殺虫剤無散布で栽培が可能である(表1)。 2. 通常の初夏採り栽培および夏秋採り栽培では、定植直後から収穫まで1×1mm目の防虫ネットでトンネル被覆をすることで殺虫剤散布の省略が可能である(表2、表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 早春まき栽培では圃場での生育期間が長引くと鱗翅目害虫の被害を受けるので、地域の害虫多発時期を考慮して播種時期を決定する(岩手県南部では4月初旬までの定植)。 2. 鱗翅目害虫の発生時期には年次変動がある。モンシロチョウ等の突発的な発生がある場合には、BT剤(特別栽培では農薬成分としてカウントされない)の散布を行う。 3. 防虫ネットを利用する場合、キャベツの外葉にネットが触れると葉への産卵などによりネット内に鱗翅目害虫が侵入するので、ネットは幅・高さに余裕を持たせ、外葉に接触しないように設置する。ネキリムシ類など土中に潜む害虫対策としては、圃場内および周辺の雑草防除に努める。また、1×1mm以上の目合いでは食害程度が増加する(表3)。 4. ネットを除去しての除草作業はネットの張り直しも含めると負担となるので、雑草防除対策として黒マルチフィルムを使用する。 5. 病害が発生した場合には畦の長辺片側のみネットを剥がして殺菌剤を散布したのち再び被覆する。畦間には薬剤散布のための通路を確保しておく。 6. 慣行の害虫防除体系と比較したコスト試算では、早春まき栽培では10aあたり約13,600円、ネットトンネル栽培では10aあたり約25,200円の増加となる(表4)。 |
カテゴリ | 病害虫 育苗 害虫 キャベツ コスト 栽培技術 雑草 除草 農薬 播種 防除 薬剤 |