寒冷地の水稲乾田直播栽培におけるイボクサの発生生態と防除法

タイトル 寒冷地の水稲乾田直播栽培におけるイボクサの発生生態と防除法
担当機関 福島農試
研究期間 2001~2003
研究担当者 大谷裕行
島宗知行
半沢伸治
発行年度 2003
要約 イボクサは、水稲播種時の耕うんによって埋没、枯死する。新たに発生するイボクサは、全て種子由来の個体であり、乾田期間中のビスピリバックナトリウム塩液剤と、入水後のシメトリン・モリネート・MCPB粒剤による体系処理で、高い防除効果を得ることができる。
キーワード 水稲乾田直播栽培、雑草防除、イボクサ、発生生態
背景・ねらい 直播栽培の普及拡大に伴い、特に乾田直播栽培圃場でイボクサの増加がみられ、対策が求められている。そこで、乾田直播栽培におけるイボクサの発生生態を明らかにするとともに、その防除法を確立する。
成果の内容・特徴 1.
イボクサの発生は、水稲播種前の4月上旬から始まる。播種前に発生したイボクサは、4月下旬の水稲播種時には、4葉程度まで生長している。このイボクサは、播種作業時の耕うん(逆転耕)によって切断埋没される。耕うんによって埋没された個体は再生しない。しかし、播種時の土壌水分が高く、十分に砕土できない場合、圃場周縁部に一部の個体が完全に埋没されずに、残存することがある(図1)。
2.
播種時の耕うん後、イボクサは新たに発生するが、これらは全て種子由来の個体である(図1)。発生は、ノビエとほぼ同時期に始まる。発生始期から終期までは、約20日間である。分枝は、6~7葉に生長した個体でみられ、入水時には10葉程度まで生長する。
3.
播種後、新たに発生する種子由来のイボクサには、既知のとおりビスピリバックナトリウム塩液剤による乾田期間中の茎葉処理が有効であるが、DCPA乳剤の前処理によって効果は高まる(表1)。
4.
ビスピリバックナトリウム塩液剤による茎葉処理で枯死しなかったイボクサは、入水後に再生する。そのため、乾田期間中の茎葉処理のみでは、防除効果は不十分である。入水後、茎葉処理剤の効果が発現しているうちに、シメトリン・モリネート・MCPB粒剤を散布すると、処理後に再生するイボクサに対して、高い防除効果が得られる(表2)。
成果の活用面・留意点 1.
乾田直播栽培において、イボクサを慣行の除草体系のなかで防除できる。
2.
播種前に発生したイボクサを土壌に完全に埋没させるため、播種時の耕うんはていねいに行い、土壌水分が高い時の耕うんは避ける。
3.
本除草法は、福島県浜通り地域におけるイボクサの生態をもとに作成している。他地域で適用する際は、地域ごとのイボクサの生態と栽培様式を考慮して処理時期を決定する。
カテゴリ 病害虫 乾田直播 雑草 直播栽培 除草 水稲 播種 防除

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