北日本の夏の天候は5年周期で変動している

タイトル 北日本の夏の天候は5年周期で変動している
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2003~2007
研究担当者 菅野洋光
発行年度 2003
要約 北日本における近年の夏の天候は、明瞭な5年周期で変動している。1982年以降の主な冷夏年(1983年、1988年、1993年、1998年、2003年)はすべて5年間隔で発現しており、冷夏の翌年は1989年を除いた3例が一転して暑夏となっている。
キーワード 気象変動、周期性、やませ、冷夏
背景・ねらい 1980年代以降、北日本では冷夏と暑夏が頻発している。北日本で農業を安定的に営むには、気象変動を的確に予測することが重要である。そこで、北日本の気象変動を、やませの吹走をよく表す稚内と仙台の気圧差を用いて検討し、その周期性を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
稚内と仙台の気圧差の時間変化をみると、1982年以降、暖候季に明瞭な5年周期の変動が認められる(図1)。7月および6月~8月の3ヶ月平均値(夏季平均値)で見ると、5年に一度値が高まっていることが分かる(図2)。
2.
やませの影響を最も強く受ける青森県八戸の6月~8月平均気温を、1982年を起点として5年ごとに重ね合わせると、2年目のステージには1983年、1988年、1993年、1998年および2003年の冷夏が含まれ、3年目のステージは1989年を除いて暑夏となっている(図3)。このような傾向は北日本平均気温についても明瞭に認められる。
3.
日本の夏の天候は、熱帯海洋の対流活動にも影響を受ける。そこで対流活動と関係の深い熱帯海水面温度の東西差(6月~8月平均)を計算し、図3と同様に時間変化を見た(図4)。その結果、2年目のステージで値が大きく、熱帯太平洋海域での対流活動が抑制されていること、また、3年目のステージで値が小さく、対流活動が強化されていることが示唆された。従って、北日本の夏季に認められる5年の周期変動は、熱帯海水面温度の周期的な経年変動の影響を受けていると考えられる。
成果の活用面・留意点 1.
熱帯海水面温度の周期性を監視することにより、北日本の夏季の長期気象予報に使える可能性がある。
2.
仮に5年周期変動が今後も続くと仮定すると、2004年は高温の夏に相当する。ただし、過去4例のうち例外が1事例あること(1989年)、2003年の熱帯海水面温度差が他の4事例に比較して最も小さかったこと(図4)など、マイナスの判断材料も存在するので、予測に用いるには注意を要する。
図表1 232140-1.gif
図表2 232140-2.gif
図表3 232140-3.gif
図表4 232140-4.gif
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