タイトル |
酪農における農業生産法人の経営管理実態と課題 |
担当機関 |
岩手農研セ |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
加藤満康
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発行年度 |
2004 |
要約 |
酪農法人は、大規模化するに従い雇用導入、専門コンサルタントによる技術及び経理管理の外部化が進んでいく。このため、作業や管理分担の明確化、社会保険の整備など労務管理の重点化が求められる。
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キーワード |
農業生産法人、酪農、雇用導入、労務管理
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背景・ねらい |
近年、酪農経営の農業生産法人が増加しており、法人育成に資するため岩手県内16法人に対する面接調査により、経営管理実態と課題を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 設立年代別の特徴(表1)
農事組合法人は、'70年代までの補助事業による入植が契機となっている。有限会社は、'70年代の移転を契機として始まり、個々の状況と所得増加に伴う節税対策として増加、'04年には経営継承を意識した4戸協業も現れている。 - 構成員の関係から見た法人の特徴(図1)
血縁・地縁から見た枠組みは、世帯主が代表に就く一戸一法人である。世帯を超えても代表の弟までの広がりで、非血縁者の役員登用は見られず、家業的性格が根強く残り、後継者確保という点からも門戸の広がりを意識しておく必要がある。 - 経営管理構造の特徴と課題(表2,図2)
'90年代以降は、FS-MP(フリーストール・ミルキングパーラー)方式・100頭規模以上での設立が主であり、ここではこの階層を想定し述べていく。
- 雇用の常用・複数化や飼料給与の専門アドバイザーを要するほど高度な管理が求められ、主体的熟練(継承や経験に依拠した技術や判断)からの変革を迫られることに気づき対応できるかが問われる。
- 法人への資産の引き継ぎは専門家の支援を受け、土地は主に個人から法人への貸借とし、建物、機械、乳牛は主に法人所有としている。負債の既存分は法人へ移行せず、新たな負債から法人名義としている。
- 社会保障整備は、厚生年金の加入などの費用捻出や種々制度の理解に課題を抱えつつも、雇用が入り労災や雇用保険への備えは進みつつあり、優秀な人材確保・定着のためにも労務管理の徹底が求められる。
- 経営管理は、給与の口座振り込み、経理の月別集計など100頭規模未満の法人と一線を画している。税理士委託が一般的になり、経営者と収支を記帳する者との分離が見え始め、計数分析能力の向上が課題となる。
- 経営者の意識では、後継者確保の機能や社会的信用と責任、経営としての枠組み形成を実感する声が聞かれ、経営継承面からの法人機能が期待される。
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成果の活用面・留意点 |
- 調査対象は農家展開型の農業生産法人であること。
- 法人の経営管理改善及び法人化に際し念頭に入れることとして活用される
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
大規模化
乳牛
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