タイトル |
機能成分を多く含み搾汁率を高めたりんごジュースの製造法 |
担当機関 |
岩手農研セ |
研究期間 |
2003~2004 |
研究担当者 |
関村照吉
上山純子
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発行年度 |
2004 |
要約 |
りんごジュース製造工程でセルラーゼを反応させることにより、未処理果汁の1.2倍以上の糖度(Brix示度)と2倍以上のポリフェノールを含み、廃棄物の発生は従来法の半分以下に軽減できる。
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キーワード |
リンゴ、セルラーゼ処理、廃棄物軽減
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背景・ねらい |
りんごジュース加工時には原料の約30%が搾りかすとして廃棄物になり、製造者は処分に困っている。この搾りかすには、ポリフェノールや食物繊維が多く含くまれ、食料資源として価値が高い。 このため、搾りかすが少なくポリフェノール含量が豊富なジュースの製造法を開発し、同時に廃棄物の軽減化を図った。
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成果の内容・特徴 |
- 搾りかすの少ないりんごジュースの製造法(図1)
- りんごを除芯後破砕し、50%程度の果汁を搾汁する。
- 残りにセルラーゼを添加し搾汁する。
- これら2種類の果汁を混合し、酵素失活と殺菌を兼ねて加熱後充填する。
- 酵素反応条件
- 酵素は、セルラーゼY-NC及びセルラーゼ「オノヅカ」3S(共にY社製造)の2種類を併用する。
- 2種類の酵素添加量は、りんご破砕重量のそれぞれ0.5~1%とする(図2)。
- 酵素反応時間は、3時間とする(図3)。
- 酵素反応温度は、55℃とする(図4)。
- 本法によるりんごジュースの特徴
- 未処理果汁の1.2倍以上の糖度(Brix示度)と2倍以上のポリフェノールを含む。
- Brix示度は16.0となる。
- ジュース食味試験では、‘ふじ’70%と‘ジョナゴールド’30%の混合果汁の評価が高い(図5)。
- 廃棄率は従来法の36.7%に対し、13.9%に軽減できる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- ポリフェノールや糖含量は、酵素の添加量が多いほど、反応時間が長いほど及び反応温度が高いほど多くなるが、「苦み」や「甘み」が強くなるため目標Brix示度を16.0として酵素添加量及び反応条件を設定した。
- pH3.0から4.5の範囲内では酵素反応には大きな影響を及ぼさない(データ省略)。
- セルラーゼY-NCはセルラーゼとヘミセルラーゼやペクチナーゼなどを含有し、セルラーゼ「オノヅカ」3Sはセルラーゼを高濃度に含有している。この2酵素を併用することで残渣を最小にできる(データ省略)。
- 2種類の酵素の価格は各々1万円程度/kgである。
- 県内の実施例として、本法によるりんごジュースとコンニャク粉成分を混ぜて、機能成分を含む健康ジュースとして製品化している事例がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
加工
こんにゃく
良食味
りんご
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