タイトル | 貯蔵中のニンニクの芽、根の伸長および呼吸速度に及ぼす温度条件の影響 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
山崎 篤 山崎博子 長菅香織 矢野孝喜 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 貯蔵中のニンニク「福地ホワイト」の芽の伸長は10~20℃、根の伸長は5~15℃で速く、-2.5℃および30℃以上で顕著に抑制される。りん茎の呼吸速度は-2.5℃で顕著に低く、次いで、5℃および25~32℃で低い。収穫後の高温での乾燥は、その後のりん茎の芽の伸長や発根を早める。 |
キーワード | ニンニク、芽の伸長、発根、呼吸速度、乾燥温度、貯蔵温度 |
背景・ねらい | ニンニクの長期貯蔵に利用されてきた萌芽抑制剤マレイン酸ヒドラジドコリンが平成14年に販売中止となり、薬剤に依存しない新たな長期貯蔵法の確立が必要となっている。新規貯蔵法では温度による品質保持が中心となるが、貯蔵りん茎の温度に対する反応特性については、断片的な知見があるにすぎない。そこで、主要な国産品種である「福地ホワイト」について貯蔵中の芽、根の伸長および呼吸速度に及ぼす温度条件の影響を調査し,基本的な温度反応特性を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. りん茎の芽の伸長は10~20℃、根の伸長は5~15℃で進行が速い(表1)。 2. -2.5~41℃の貯蔵条件では、芽、根の伸長は-2.5℃および30℃以上で顕著に抑制される(表1)。りん茎重の減少は32℃以上では高温ほど著しい。41℃で6週間の貯蔵では障害が発生する。 3. りん茎の呼吸速度は、収穫直後には貯蔵温度が高いほど高いが、3週間後までに急激に低下し、以後は大きな変動なく推移する(図1)。 4. 収穫3週間後以降のりん茎の呼吸速度は、貯蔵温度-2.5℃で最も低く、次いで、5℃および25~32℃で低い(図2)。ニンニクは高温条件(25~35℃)で呼吸速度が低く抑えられる特徴を示す。 5. 収穫後、約35℃で強制乾燥したりん茎は、遮光条件下で自然乾燥したりん茎に比べて芽、根の伸長が早まる(表2)。高温での乾燥はりん茎の自発休眠を打破する作用がある。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本成果は、最長12週間の貯蔵試験から得られたものである。貯蔵中の湿度は温度とともに貯蔵性に影響する可能性があるが、本試験では湿度の制御は行っていない。 2. ニンニクの長期貯蔵には-2.5℃近辺の低温での貯蔵が有望である。最適な貯蔵温度を決定するには、より長期間の貯蔵の影響や凍結の発生について検討する必要がある。 3. 3か月程度の比較的短期間の貯蔵には30~35℃の高温での貯蔵も有望である。 4. 芽や根の伸長にはりん茎の乾燥条件も影響するので、貯蔵条件とともに乾燥条件を最適化することにより、りん茎の貯蔵性をより高めることができる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 乾燥 長期保存・貯蔵 にんにく 光条件 品質保持 品種 薬剤 |