タイトル |
リンゴ病害虫防除における春期の薬剤散布回数削減体系 |
担当機関 |
青森農林総研りんご試 |
研究期間 |
2001~2005 |
研究担当者 |
櫛田俊明
石栗陽一
赤平知也
雪田金助
福士好文
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発行年度 |
2005 |
要約 |
モニリア病やリンゴハダニ等を対象とした春期の病害虫防除において、効果の高い薬剤を組み合わせることで4月中旬の1回目と4月下旬の2回目の薬剤散布を統合して散布回数を1回削減する。これにより、春期の病害虫防除の薬剤費を3~4割低減できる。
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キーワード |
リンゴ、病害虫、春期防除、薬剤散布回数削減、薬剤費低減
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背景・ねらい |
青森県でのリンゴ病害虫防除は消雪間もない4月中旬から始まるが、この時期の薬剤散布は剪定枝の処分や粗皮削り、園地清掃、施肥等の春作業と競合し、年によっては消雪の遅れで計画通りに実施できないこともある。そこで、ゆとりを持って春作業ができるように、春期における薬剤散布の開始時期を10日ほど遅らせる防除体系を確立し、併せて散布回数の1回削減と薬剤費の低減を図る。
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成果の内容・特徴 |
- モニリア病(葉腐れ)の発病初期の散布において、イミノクタジン酢酸塩液剤は病斑拡大と分生子形成を抑制する効果を示す(図1)。DMI剤のヘキサコナゾール水和剤、フェンブコナゾール水和剤及びシメコナゾール水和剤も同様の高い抑制効果を示す(図2)。
- リンゴハダニの越冬卵は「展葉1週間後頃(芽出し10日後)」のマシン油乳剤97(ハーベストオイル)200倍散布で防除できる(図3)。
- 2005年の現地ほ場での大規模試験において、「展葉1週間後頃(芽出し10日後)」のイミノクタジン酢酸塩液剤+マシン油乳剤97(ハーベストオイル)と「開花直前」DMI剤を組み合わせた新体系(図4)で、モニリア病とリンゴハダニを同時防除できることが実証される(データ省略)。さらに、腐らん病や黒星病、リンゴコカクモンハマキの防除でも問題ないことが確認される。
- 春期における「展葉1週間後頃(芽出し10日後)」と「開花直前」の2回散布の新防除体系は、これまでの「芽出し当時」を加えた3回散布の旧防除体系に比較して、散布回数を1回削減し(図4)、薬剤費も3~4割を低減できる。併せて、1回目の薬剤散布を10日ほど遅く始められるので春作業にもゆとりができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 「展葉1週間後頃(芽出し10日後)」の薬剤散布は‘ふじ’の展葉(平年:4月20日)の1週間後頃に行う。展葉日は樹冠全体で小さくとも典型的な葉が1枚でも認められた日である。
- 「開花直前」の薬剤散布はこれまでと同様に、‘ふじ’の開花(平年:5月8日)の1~2日前に行う。
- マシン油乳剤(ハーベストオイル)はプロチオホス水和剤(ハマキムシ防除剤)と組み合わせない(物理性の悪化)。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
害虫
黒星病
施肥
春作
病害虫防除
防除
薬剤
りんご
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