タイトル |
いもち病に強い良食味水稲新品種「まっしぐら」の育成 |
担当機関 |
青森農林総研 |
研究期間 |
1993~2004 |
研究担当者 |
横山裕正
舘山元春
高舘正男
三上泰正
小山田善三
小林渡
川村陽一
前田一春
中堀登示光
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発行年度 |
2005 |
要約 |
「まっしぐら」は、“中生の早”の粳種で、耐冷性が“やや強”、いもち病抵抗性が“強”、食味は「つがるロマン」並の“上中”である。「ゆめあかり」よりいもち病抵抗性が強く、「むつほまれ」より耐冷性が強く、食味が優る。
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キーワード |
イネ、まっしぐら、新品種、良食味、いもち病抵抗性
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背景・ねらい |
青森県の奨励品種「むつほまれ」・「ゆめあかり」は、主に業務用米として流通しているが、「むつほまれ」は障害型耐冷性と食味が、「ゆめあかり」はいもち病抵抗性と収量性が不十分で、耐冷性と耐病性を備えた良食味品種が要望されていたので、これらに替わり得る特性の品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「まっしぐら」は、中生の耐冷・耐病・良食味品種の育成を目標に、1993年に「奥羽341号」を母、「山形40号」を父として人工交配を行い、その後代から育成された品種である(表1)。
- 出穂期・成熟期は「むつほまれ」並から1日程度遅く、育成地では“中生の早”に属する粳種である(表1)。
- 稈長は「むつほまれ」よりやや短く、穂長・穂数は「むつほまれ」並の短稈・偏穂重型である。止葉の長さは「むつほまれ」並で直立する。稈の太さは「むつほまれ」と同程度の“太”で、耐倒伏性は「むつほまれ」並の“強”である。籾には極短芒を生じ、ふ先色は“黄白”である(表1)。
- 障害型耐冷性は、「むつほまれ」より強く、「ゆめあかり」より弱い“やや強”である。いもち病抵抗性は、真性抵抗性遺伝子型が“Pia”、“Pii”と推定され、圃場抵抗性は葉いもち・穂いもちともに「むつほまれ」・「ゆめあかり」より強い“強”(東北新基準では穂いもち“やや強”)である。穂発芽性は「むつほまれ」・「ゆめあかり」より発芽しにくい“難”である。収量性は、「むつほまれ」よりやや低く、「ゆめあかり」よりやや高い(表1)。
- 玄米千粒重は「むつほまれ」・「ゆめあかり」よりやや重い。玄米品質は「むつほまれ」・「ゆめあかり」並の“上下”である(表1)。
- タンパク質含量は「むつほまれ」・「ゆめあかり」よりやや低い。アミロース含量は、「むつほまれ」より低く、「ゆめあかり」よりやや高い。食味推定値(味度)は、「むつほまれ」より明らかに高く、「ゆめあかり」よりやや高い。
- 食味は「つがるロマン」並の“上中”である。
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成果の活用面・留意点 |
- 2005年3月に青森県の奨励品種に採用された。
- 栽培適地は、津軽半島北部や下北地域等の冷涼地域を除く県下全域である。
- 施肥量は、「むつほまれ」・「ゆめあかり」の地帯別施肥基準に準ずる。
- 障害型耐冷性は「やや強」であり、穂ばらみ期の低温時には深水管理をし幼穂を保温する。
- いもち病抵抗性は「強」であるが、基本防除を行う。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
新品種
施肥
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
水管理
良食味
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