食味の良い東北地域向け直播用水稲新品種「萌えみのり(奥羽382号)」

タイトル 食味の良い東北地域向け直播用水稲新品種「萌えみのり(奥羽382号)」
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 1997~2005
研究担当者 山口誠之
片岡知守
遠藤貴司
中込弘二
滝田 正
横上晴郁
加藤 浩
発行年度 2005
要約 水稲「萌えみのり」は東北地域中南部での熟期が中生の晩に属する粳種である。良食味で、耐倒伏性が強く、規模拡大や複合経営に有利な省力的栽培法である直播栽培、特に表面播種において多収である。
キーワード イネ、萌えみのり、直播、表面播種、耐倒伏性、良食味、東北地域
背景・ねらい 直播栽培は、農業の担い手不足及び輸入米との競合などを背景に省力・低コストで良質・良食味米の生産が可能な技術として期待されて いる。直播栽培の安定化には直播適性品種の利用が有効であるが、一般には「あきたこまち」や「ひとめぼれ」等の耐倒伏性に劣る品種が用いられており、直播 適性がある「はえぬき」はやや低収である。そこで、耐倒伏性が強く直播栽培において多収で、かつ良食味の東北地域向け品種を育成し、良食味米の省力・低コスト生産を促進する。
成果の内容・特徴
  1. 「萌えみのり」は、1997年に多収で良食味の「南海128号」と耐倒伏性に優れ良食味の「はえぬき」を交配して、その後、選抜固定をはかってきた品種である。
  2. 出穂期と成熟期は、育成地では「ひとめぼれ」と同程度かやや早い“中生の晩”に属し、東北地域中南部に適する。稈長は「ひとめぼれ」、「はえぬき」より短く、倒伏に強い。耐冷性は“強”で、いもち病抵抗性は葉いもちが“やや弱”、穂いもちが“中”である(表1)。
  3. 湛水直播栽培(表面条播)においては、転び型倒伏が「ひとめぼれ」より明らかに少なく、「はえぬき」と同程度であり、収量はこれらより約5~20%多収である(表1)。鉄粉衣種子を表面散播した現地実証圃でも倒伏が少なく多収である(表2)。低温苗立ち性は「ひとめぼれ」、「はえぬき」並である(表3)。
  4. 苗立ち密度を約400本/㎡まで増やしても完全には倒伏せず、収量、品質の変動が少ないことから、播種量を増やすことで苗立ちのムラや不安定性を克服できる(表4)。
  5. 移植栽培、直播栽培のいずれにおいても「ひとめぼれ」並の良食味である(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 耐倒伏性が強く、省力的な栽培法である直播栽培において多収なため、規模拡大や複合経営への導入が容易である。東北地域中南部での普及が見込まれる。
  2. 低温苗立ち性は「はえぬき」、「ひとめぼれ」と同程度なので、播種後の低温が予想される地域での栽培や土中播種する場合には過酸化カルシウム剤被覆を行い、播種量を適宜増やす。
  3. いもち病抵抗性が不十分なため、適正施肥、適期防除につとめる。
  4. 倒伏に強いが、多肥栽培は食味の低下を招くため、適正な肥培管理につとめる。
図表1 232457-1.gif
図表2 232457-2.gif
図表3 232457-3.gif
図表4 232457-4.gif
カテゴリ 病害虫 いもち病 規模拡大 経営管理 直播栽培 新品種 水稲 施肥 抵抗性 低コスト 播種 肥培管理 品種 防除 良食味

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