タイトル | 積雪寒冷地における主要水田多年生雑草の発生継続年数 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 1994~2005 |
研究担当者 |
内野彰 伊藤一幸 渡邊寛明 橘雅明 中山壮一 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 積雪寒冷地における多年生雑草の栄養繁殖体からの発生は、エゾノサヤヌカグサとシズイでは1∼2年で無くなるがクログワイでは8年後まで続く。エゾノサヤヌカグサとシズイでは種子からの発生が11年後もあり、通年湛水条件では発生数の減少が緩慢になる。 |
キーワード | 水田雑草、多年生雑草、栄養繁殖体、塊茎、積雪寒冷地 |
背景・ねらい | 雑草の塊茎などの栄養繁殖体や種子の寿命は数年以上になる場合が多く、一部の種を除いて単年度の防除で翌年以降の発生を無くすことはほとんどできない。従って、長期的視点に立った雑草防除体系を構築するためには、栄養繁殖体や種子の発生継続年数を知ることが重要となる。栄養繁殖体や種子の寿命試験は関東や北九州での研究蓄積があり、冬期の乾燥状態などに影響されるとされるが、東北での研究は少なく、特に冬の間積雪下におかれる積雪寒冷地での寿命については不明の部分が多い。本研究では、東北地域の水田で問題になることの多い代表的な多年生雑草3種(エゾノサヤヌカグサ、シズイ、クログワイ)について栄養繁殖体と種子の発生継続年数を調査し、作付け期間以外の水分状態が発生継続年数に与える影響を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 栄養繁殖体からの発生は、エゾノサヤヌカグサとシズイではそれぞれ1年目と2年目で終了するが、クログワイでは8年目まで続く(図1)。 2. 種子からの発生はエゾノサヤヌカグサとシズイで見られ、それぞれ11年後も発生する。エゾノサヤヌカグサの種子からの発生は毎年見られる(図2)。 3. エゾノサヤヌカグサの種子からの発生は、通年湛水条件にすると発生数の減少が緩慢になり、積雪寒冷地でも作付け期間だけ湛水にする方が顕著に減少する(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 多年生雑草の発生継続年数は、多年生雑草の発生を無くすために必要な防除継続年数の目安となり、積雪寒冷地における多年生雑草の防除に活用される。 2. 本成果は、1994年に50cm角コンクリートポット(作土層30cm、耕深15-20cm)内で各草種4株を育成し栄養繁殖体と種子を生産させ、翌年以降、慣行の水稲移植栽培条件で発生した個体を一週間に1-3回抜き取り、その本数を集計した結果である。コンクリートポットは屋外に設置し、いずれの処理区も冬期は毎年積雪下(調査期間の平均根雪期間は109日、最高積雪深の平均値は106cm)にあった。 3. 本成果は一般的にクログワイ種子からの発生が無いことを示すものではなく、また、一般的にシズイの種子からの発生が5年間無いことを示すものではない。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 病害虫 乾燥 栽培条件 雑草 水田 繁殖性改善 防除 |