多孔質フィルム製ダクトを利用した根域冷却法

タイトル 多孔質フィルム製ダクトを利用した根域冷却法
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2001~2005
研究担当者 安場健一郎
屋代幹雄
松尾健太郎
発行年度 2005
要約 通気性と防水性を併せ持つ多孔質フィルム製のダクトを、水耕槽に設置して、送風処理すると、水耕液温が平均で約3℃程度低くなる。また、多孔質フィルム製ダクトをポリエチレンチューブに入れた装置を圃場に設置すると地温が低下する。この冷却法を高温期のホウレンソウの栽培に適用すると、水耕および土耕で生育が促進される。
キーワード 多孔質フィルム、根域冷却、ホウレンソウ、ダクト
背景・ねらい
水耕栽培における培養液冷却法として、通気防水性を有する多孔質フィルム製のダクトを利用した低コストな冷却法を開発する。また、地床栽培においても、多孔質フィルム製ダクトを利用した潜熱の利用による根域冷却法を開発する。これらの装置を利用し、根域の高温によって生育が抑制されるホウレンソウの生育促進を試みる。

成果の内容・特徴 1. 水耕液用冷却装置は、筒状に加工した多孔質フィルムにナイロンメッシュチューブを通したダクト(以下ダクト)を送風装置に接続したものであり、水耕槽内に設置する(図1)。地床栽培用の冷却装置はダクトをポリエチレンチューブに通し、チューブとダクトの間に注水し、ダクトを送風装置に接続したものであり、圃場表面に設置する(図1)。
2. 水耕栽培用の装置ではダクトへの送風処理により培養液が蒸発し、潜熱により培養液を冷却する。送風をしない場合は冷却効果がない。地床栽培用装置は注水した水が送風処理により蒸発し、チューブ内の水を冷却し、伝熱により圃場を冷却する。水はサイフォンにより自動的にチューブ内に補給される。
3. 水耕栽培において、3.7W 程度の小出力のブロアーを用いて冷却した場合、20L培養液温の平均値が3℃程度低くなる(図2)。これを用いて栽培したホウレンソウの地上部新鮮重が大きくなる(図4)。また、200Lの培養液の場合でも多孔質フィルムを複数本配置することで前述のブロアーでも約3℃培養液温が低下する。
4. 土耕栽培の冷却装置においては、300Wのブロアーを用いて延べ20mの冷却チューブに送風した場合、冷却チューブ直下の地温が平均で約2℃低下し(図3)、設置した装置付近(5cm離れた地点)で栽培するホウレンソウの生育が促進される(図4)。


成果の活用面・留意点
1. 自作した場合の多孔質フィルム製ダクトの材料費は210円/mである(多孔質フィルム30円、メッシュチューブ180円)。
2. フィルム自体はポリプロピレン製であり、紫外線によって劣化するため使用環境や保存には注意を要する。
3. 多孔質フィルムの加工はシーラーによる熱溶着によって行う。
4. ホウレンソウの土耕栽培においては冷却チューブから15cm離れた地点では地温の低  下がみられなくなるため、チューブを植物体近くに設置する必要がある。 
5. 冷却装置は市販されている多孔質フィルムを用いて自作することが可能である。


図表1 232481-1.jpg
図表2 232481-2.gif
図表3 232481-3.gif
図表4 232481-4.gif
カテゴリ 加工 水耕栽培 低コスト ほうれんそう

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