コマツナ連作は、糸状菌の指標リン脂質脂肪酸割合の増加とリン脂質脂肪酸の多様性低下を引き起こす

タイトル コマツナ連作は、糸状菌の指標リン脂質脂肪酸割合の増加とリン脂質脂肪酸の多様性低下を引き起こす
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2003~2005
研究担当者 浦嶋泰文
中嶋美幸
金田哲(特別研究員)
村上敏文 
発行年度 2005
要約 糸状菌バイオマスと相関のある糸状菌の指標リン脂質脂肪酸(18:2ω6,9)の含有率はコマツナの作付回数とともに増加する傾向にある。また、微生物由来の全リン脂質脂肪酸組成の多様性はコマツナの作付回数とともに低下する。
キーワード リン脂質脂肪酸、コマツナ、連作、多様性、糸状菌
背景・ねらい
野菜の持続的生産にとって、土壌微生物の重要性は認識されているが、従来の培養法では土壌微生物相の全体像を把握するのは困難である。作物の連作により土壌環境が悪化していることが推察される。連作に伴う土壌微生物相の変動を、微生物群集の構造やバイオマスについて情報が得られ土壌微生物の指標となりうる土壌中のリン脂質脂肪酸を測定することで解析する。本研究では、土壌の養分レベルを変えた土壌でコマツナを連作し、その時の土壌微生物相に与える影響を明らかにし、土壌微生物性の新たな診断指標のための基礎資料を得る。

成果の内容・特徴 1. 同時期にほぼ同じ栽培日数で栽培した2作目と10作目のコマツナの生育を比較すると、土壌ECの高い区のコマツナの生育は10作目では低下する。土壌ECの低い区は、コマツナの生育に影響が認められない(図1)。
2. 土壌ECは変動はあるものの、作付に伴い増加する傾向にある(図2)。
3. 糸状菌バイオマスの指標となるリン脂質脂肪酸(18:2ω6,9)の全リン脂質脂肪酸に対する比は、作付回数とともに増加する傾向にあり、この傾向は土壌ECが高い場合は顕著である。同時期に栽培した作付(1作目と9作目)を比較してもその傾向が認められる(図3)。
4. リン脂質脂肪酸組成の多様性(シンプソン指数 1/D)は作付とともに低下し、低下程度には、土壌ECとの関連は認められない(図4)。さらに、同時期に栽培した作付(1作目と9作目)を比較してもその傾向が認められる。
5. コマツナの連作は、糸状菌の指標リン脂質脂肪酸割合の増加とリン脂質脂肪酸の多様性の低下を引き起こす。これらが土壌微生物性の新たな診断指標となる可能性が推察される。


成果の活用面・留意点
1. 本成果は、淡色黒ボク土による試験である。プランターに淡色黒ボク土壌をつめ、1作目のみ化成肥料の施肥量を変え、土壌ECの異なる土壌を作製して、ガラス温室にてコマツナ(楽天:タキイ種苗)を栽培した。2作目以降は全てのプランターを同一の施肥条件にし、コマツナを栽培した。コマツナは年に8作栽培した。連作期間は短いが、プランターによる栽培は土壌全体に根がはるために、圃場試験よりも早期に連作の影響が現れる。
2. 本試験は化成肥料のみの施用試験であり、有機物は施用していない栽培条件である。
3. 指標リン脂質脂肪酸とは、糸状菌やグラム陰性菌といった各微生物群のバイオマスと相関の認められているリン脂質脂肪酸のことを示す。
4. 病害発生等の生育障害は認められていない。

図表1 232491-1.gif
図表2 232491-2.gif
図表3 232491-3.gif
図表4 232491-4.gif
カテゴリ 肥料 こまつな 栽培条件 施肥 土壌環境

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