マルチカラー染色法による野外におけるトマトの根の分布解明

タイトル マルチカラー染色法による野外におけるトマトの根の分布解明
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2004~2005
研究担当者 村上敏文
島野智之
中嶋美幸
金田哲
浦嶋泰文
三好孝和
発行年度 2005
要約 トマトの茎の地際から、切り花着色液を0.5から5気圧まで段階的に加圧注入すると、野外において根を染められる。0-15cm土層では、株元はその株の根が占め、株間では両方の株の根が分布する。15-30cm土層では、根は隣接株の根元やさらに離れた株付近まで展開する。
背景・ねらい
環境保全型農業の推進においては、作物生態を知りそれをうまく活用していく必要がある。例えば混作やカバークロップの研究において、影響を及ぼし合う植物の根を個体識別して、養水分の競合や相互扶助作用をより詳しく調べることができれば、新しい技術開発につながる可能性がある。16年度は、ポット栽培において土壌を乾燥させ、地上部から染色液を注入して植物の根を染め分ける方法を開発した。17年度は、それを土壌水分含量が高い野外に適用できるよう、改良する。

成果の内容・特徴 1. 染色試験10日前に、対象株に雨よけ屋根を設置し、できるだけ土壌を乾燥させる。図1に示すように植物地上部を切除し、50mLピペットを接続、異なる色の切り花着色液(ファンタジー、パレス化学)を入れて0.5気圧から順次圧力を上げて5気圧まで昇圧し、必要液量を根に注入する。加圧は圧縮窒素ガスで行い、チューブおよび各接続部は耐圧仕様にする。
2. 土壌ブロック中の根の色は目視で分別できる。図2のように、トマトでは0-15cm層で、株際はほぼ100%その株の根が占めるが、株と株の中間位置では双方の根が拮抗して分布している。これは昨年の大型コンテナ試験の結果と一致する。15-30cm層では、0-15cm層と似た傾向であるが、根が隣の株際位置にも展開し、それを超えてさらに遠い部分にまで伸びている。


成果の活用面・留意点
1. 土壌水分%が高い場合、液注入圧を5気圧まで上げる必要があるが、茎や根への損傷や液漏れを最小限にするため、初め0.5気圧で加圧し液が入らなくなった時点で順次圧を高くする。
2. 茎とピペットの接続部から液漏れが起こらないようにするため、茎にかぶせるチューブを2重にし、ホースバンドで固定する。
3. 染色液量は、地上部重と地上/根重比率(文献値)および根の比重(予備試験から1)で根体積を推定し、さらにそれを2倍して(昨年の試験結果より)求める。
4. 本手法は、原理的には、茎や根が高圧の染色液注入に耐えられる作物なら、どれにでも適用できる。現在、染色を確認しているのは、トマトおよびナスである。
5. この結果は、株間に追肥や灌水を行えば、それらが双方の株に吸収されることを意味するので、追肥や灌水箇所の削減やその位置改善の基礎データとなる。


図表1 232493-1.jpg
図表2 232493-2.jpg
カテゴリ カラー 乾燥 トマト なす

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