繊毛虫検出用プライマーの作成及びそれを用いた繊毛虫の検出

タイトル 繊毛虫検出用プライマーの作成及びそれを用いた繊毛虫の検出
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2001~2005
研究担当者 島野智之
笠原康裕(茨城大学)
村上敏文 
発行年度 2005
要約 繊毛虫に特異的な塩基配列を明らかにしPCR増幅用プライマーを作成した。それを用いて、土壌など環境中のDNAを増幅することにより、繊毛虫の存在を検出できる。
キーワード 繊毛虫、プライマー、18SrRNA、PCR
背景・ねらい
繊毛虫は、微生物の摂食者として生態系の物質循環に関与し、有機物の分解促進に大きな役割を果たしている。また、環境浄化指標微生物としても有望視されている。しかし、これまで土壌など環境中に存在する繊毛虫を簡便、迅速かつ確実に検出できる手法は報告されていない。そこで、繊毛虫に特異的な塩基配列を利用したPCR増幅のためのプライマーを作成し、環境中、特に土壌中に存在する繊毛虫の検出を試みる。

成果の内容・特徴 1. 土壌や水系などに生息する代表的な繊毛虫33種および他の原生動物等49種の18SrRNA遺伝子の塩基配列をEMBL/Genebank/NCBIで検索、比較することにより、図1のように、繊毛虫において保存性が高い領域を見いだし、それに基づいて繊毛虫特異的プライマー(5'-GATGGTAGTGTATTGGAC)を作成し、CS322Fと名付けた。
2. 土壌および培養系由来の5種類の繊毛虫を含む13種の生物のDNAを対象に、CS322Fおよび一般に知られている真核生物用のアンチセンスプライマー、EU929R(5’-TTGGCAAATGCTTTCGC)を用いてPCR増幅を行ったところ、目的の約600bpのバンドが、繊毛虫でのみ検出されたので、CS322Fの有効性が確認された(図2)。
3. 土壌から抽出したDNAを対象にCS322FおよびEU9292Rのプライマーセットを用いてPCR増幅を行うと、約600bpの位置にバンドが確認され、繊毛虫の存在を検出できる(図3)。PCRは、プライマーセット、dNTPs、Taqポリメラーゼ、鋳型DNAを含むバッファーを94℃15秒、64℃15秒、72℃1分を1サイクルとして25サイクル行う。


成果の活用面・留意点
1. 本プライマーセットは、繊毛虫以外の生物DNAを増幅する可能性が全くないとはいいきれない。したがって厳密な検出を目的とする場合はシークエンス等を行って繊毛虫であることを確認する必要がある。
2. 図3のバンドはクローニングを行い、繊毛虫の塩基配列であることを確認している(未発表データにつきデータは記載していない)。
3. 土壌等の環境試料からのDNA 抽出は市販の抽出キットを用いる。


図表1 232494-1.gif
図表2 232494-2.jpg
図表3 232494-3.jpg
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