タイトル |
陸稲の有機質肥料およびアミノ酸に対する反応 |
担当機関 |
福島農総セ |
研究期間 |
2006~2006 |
研究担当者 |
二瓶直登
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発行年度 |
2006 |
要約 |
有機質肥料を施用した土壌での陸稲の生育は、土壌中の無機態窒素量と相関はなく無窒素区より生育が増加する。また、陸稲はアミノ酸を窒素源として無菌状態で生育させると、アミノ酸の種類によって生育が異なり、グルタミン、アスパラギン、アラニンは無機態窒素区と同等の生育を示す。
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キーワード |
陸稲、有機質肥料、アミノ酸
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背景・ねらい |
有機農業の普及には、有機質肥料の肥効特性の詳細な把握が必要である。米ぬかや稲わら施用土壌では作物間に生育の差があり、イネやチンゲンサイなどでは土壌中の無機態窒素量と作物の生育量(窒素吸収量)の間には必ずしも相関がみられないという報告がされている(山縣ら1996、松本2003)。本研究では、稲わら以外の主に窒素源となるC/N比の低い有機質肥料を用いた施用試験を行い、さらに無機態以外の窒素源としてアミノ酸の施用効果を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 有機質肥料を施用した土壌で陸稲の生育は土壌中の無機態窒素量と相関はなく、無窒素区より生育が増加する(表1、図1)。
- 陸稲をタンパク質を構成する20種類のアミノ酸で生育させると、アミノ酸の種類によって生育差がある。グルタミン、アスパラギン、アラニンは無機態窒素区と同等の生育を示し、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、プロリンは無窒素区と同等の生育を示す。ヒスチジン、メチオニン、スレオニン、チロシン、バリンは、根系が全く生長せず、陸稲の生育を抑制する(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 陸稲は有機質肥料区で土壌の無機態窒素量が少ないにもかかわらず硫安区とほぼ同量の窒素を吸収したことから、窒素源として無機態以外の窒素利用が示唆される。また陸稲は無機態以外の窒素源としてアミノ酸単独でも生育が可能であり、有機質肥料の施用による土壌アミノ酸の窒素肥効も示唆される。
- 有機質肥料試験は、バーミキュライトと焼土を4:1で混合した土壌を用い、窒素0.5g/kgとした。各試験区リン1.8g/kg、カリ1.5g/kgと補正し、ハウス内で28日栽培した。
- アミノ酸に関する試験はゲル(0.3%、100ml)を培地として、人工気象器内で21日間栽培無菌栽培した。窒素量は5mMとし、窒素以外の成分に関しては1/2Hogland溶液を用いた。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
有機農業
有機栽培
土づくり
肥料
チンゲンサイ
陸稲
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