タイトル |
岩手県における5~6月の薬剤選択によるリンゴ病害の総合防除体系 |
担当機関 |
岩手農研 |
研究期間 |
2005~2006 |
研究担当者 |
猫塚修一
足立嘉彦
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発行年度 |
2006 |
要約 |
斑点落葉病と褐斑病は、5~6月の定期散布剤を選択することで、7~8月の防除間隔を15日に広げても防除できる。輪紋病は、7~8月を15日間隔としても実害がない。よって、7~8月を15日間隔とし年間12回で主要8病害を防除できる。
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キーワード |
リンゴ、病害、5~6月、薬剤選択、防除回数削減
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背景・ねらい |
従来までのリンゴ病害の防除は、病害に関する知識の有無に関わらず行えるよう、10日間隔で行われてきた。今後、散布間隔を広げながら防除回数や成分数を削減するためには、園地や地域における病害の発生状況に合わせて防除薬剤を選択することが必要である。そこで、リンゴに発生する主要8病害について個別の病害防除技術を総合することにより、7~8月の散布回数を削減する防除体系を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 岩手県における主要8病害の感染時期と防除適期をとりまとめた。この中で、5~6月は斑点落葉病や褐斑病をはじめとする主要5病害の防除適期である(図1)。
- 地域で問題となる病害に合わせて5~6月の定期散布剤の中から効果の高い薬剤を選択することで、7~8月を15日間隔とし年間12回の殺菌剤散布で主要8病害を防除することができる。薬剤選択の方法は以下のとおりである(図1)。
- 斑点落葉病は、6月下旬にシプロジニル・ジラム水和剤(ユニックスZ水和剤)やピラクロストロビン・ボスカリド水和剤(ナリアWDG)を選択する(表1)。
- 褐斑病は、落花期~落花20日後にジチアノン水和剤(デランフロアブル)等を選択する(表2)。
- 炭疽病は、落花10日~落花20日後にプロピネブ水和剤(アントラコール顆粒水和剤)を選択する。
- 輪紋病は、県中部においては7~8月を15日間隔としても実害がないので、定期散布剤による防除とする(表1、表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 夏期におけるスピードスプレーヤーの稼働回数を削減できる。殺菌剤の成分数は最少で13成分とすることができるため、性フェロモン剤による殺虫剤の削減や機械除草等と組み合わせることで、岩手県特別栽培認証基準(「ふじ」:21成分回数)のクリアにつながる。
- 岩手県中部以北を普及の対象とする。県南部では輪紋病の被害を生じるリスクがある。
- 5~6月(落花期以降)は10日間隔散布を基本とする。この時期の防除間隔をあけると、年によって黒点病の被害が発生することがある。
- 7~8月の定期散布剤は、有機銅、イミノクタジン酢酸塩、クレソキシムメチル等を用いる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
除草
性フェロモン
炭疽病
防除
薬剤
りんご
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