タイトル |
水田放牧の導入により労働生産性が向上し所得が増える |
担当機関 |
岩手県農研 |
研究期間 |
2005~2006 |
研究担当者 |
小田朋佳
加藤満康
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発行年度 |
2006 |
要約 |
水田放牧の導入により、飼養管理時間の省力化が図られ、舎内労働時間は66%に削減され、労働の平準化が図られるとともに飼料費も節減することができる。削減された労働時間を活用して増頭することで、労働生産性が向上し、所得が増える。
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キーワード |
水田放牧、和牛繁殖、省力化
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背景・ねらい |
農業者の高齢化、担い手不足に伴い、肉用牛繁殖農家の戸数、飼養頭数はともに一貫して減少している。一方で、本県は水田への飼料作付面積が全国で最も多いにもかかわらず、水田への放牧はまだ導入段階である。このことから、水田放牧の導入に伴う経営経済的効果を明らかにし、和牛繁殖経営の維持発展に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 水田放牧調査農家の経営概況と放牧の実態(表1)
調査農家の放牧期間は5月1日~9月15日:138日で、放牧のべ頭数は1,041頭・日、牧養力は560CD/haである。 - 水田放牧導入による舎内労働時間の削減状況(図1)
1牛舎の繁殖牛22頭のうち6頭を138日間放牧した場合、舎内労働時間は水田放牧導入後、「飼料の準備・給与・給水」作業が導入前の64.7%、「敷料の搬入・糞尿の搬出、掃除」作業が82.1%に減少し、舎内作業全体では導入前の66%の作業時間となる。 - 水田放牧導入による労働時間の平準化(図2)
調査農家は複合経営で、5月に田植え作業と飼料生産作業が競合している。水田放牧の導入により、飼養管理時間と、飼料生産時間が縮小され、月別の労働時間が平準化されている。 - 水田放牧導入による経営改善(表2)
ア.飼養頭数はそのままで、水田放牧を導入した場合、舎飼時よりも所得は122万円増え、労働生産性は947円上昇して2,350円となる(表2-(1)、(2))。 イ.労働時間を周年舎飼時と同程度として規模拡大した場合、繁殖牛5頭の増頭が可能で、所得は262万円増加する。労働生産性は1,355円上昇して2,758円となる(表2-(1)、(3))。 ウ.水田放牧を導入することで、他産業並となる目安である2,000円を越える労働生産性を確保している(表2-(2)、(3))。
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成果の活用面・留意点 |
- 牛舎周辺に団地化した放牧地を確保し、放牧に掛かる作業時間を短縮することと資材(給水器の設置等)を最低限にし、放牧導入による省力化低コストのメリットを高めること。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
規模拡大
経営管理
飼育技術
省力化
水田
低コスト
肉牛
繁殖性改善
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