タイトル |
遊休桑園で桑樹を伐採・積載・搬出せずに剥皮処理しながら牧草を導入する方法 |
担当機関 |
福島農総センター |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
佐藤茂次
中村フチ子
山内圭一
深谷寿之
大槻健治
柳田和弘
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発行年度 |
2006 |
要約 |
林地化した遊休桑園での不耕起牧草導入法として、草刈り鎌での桑樹の剥皮と管理放牧および播種前の除草剤散布を行った後に土粒シードペレットを用いた播種と施肥を行うと、良好な牧草導入と作業の軽労化および資材費用の低減が可能である。
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キーワード |
遊休桑園、牧草導入、枯木化、樹皮剥皮、シードペレット、土粒
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背景・ねらい |
耕作放棄地における放牧利用技術は数多く報告されているが、その殆どは既存草を活用した小規模輪換放牧であり、牧草を導入した草地として放牧利用している例は少ない。 福島県では地域基幹研究成果である不耕起牧草導入法(図1)として、マクロシードペレットを用いた慣行法の普及が地域的広がりを見せているが、作業工程の中の桑樹落葉期の伐採・積載・搬出の各作業は労働負荷が極めて高く軽労化が望まれている。そこで、桑樹を剥皮して枯木化を進めながら牧草導入する方法を検討した。併せてマクロシードペレットと代替可能な、市販の園芸用資材を用い容易に製造可能な土粒シードペレットを検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 林地化した遊休桑園での牧草導入の手順は、桑樹の剥皮、電気牧柵等設置と管理放牧、播種前の除草剤散布、土粒シードペレットを用いた牧草播種および施肥とする。(図1)
- 10年以上放棄され林地化した遊休桑園で春に樹幹を剥皮すると、播種時期の9月頃には一般草地の38%~72%程度の日射量が得られ、翌年秋には葉の着生はなくなり約90%程度ま で増大する。(表1)
- 剥皮した桑園でマクロシードペレットを用いて牧草播種すると、伐採・積載・搬出した場合とほぼ同等の牧草定着が得られる。また土粒シードペレットを用いても、マクロシードペレットを用いる場合と同等以上の牧草定着が得られる。(表2)
- 剥皮は作業のし易い4月から5月頃に行い、ほぼ胸位置の所を環状に幹全周囲を幅5cm程度以上を剥皮する。剥皮は、草刈り鎌を使用するが両刃タイプのものが作業性が良い。
- 土粒シードペレットの製造方法は、ホームセンター等で市販されている園芸用土粒(赤玉土;大粒)に市販の洗濯用澱粉糊を水で溶いて加え良く撹拌し、次に牧草種子を加えて均一にな るまで撹拌して製造する。この際、2m×2mのブルーシートを用いると安価で容易にできる。製造後は糊が乾ききる前に播種床になるべく均一に散布する。なお、土粒14L当たり1~2Lの水を予め土粒に散水してから糊を加えると糊着きが良くなる。10a当たりの資材量は土粒280L、牧草種子3.2kg、澱粉糊2.0kg(溶解用の水量10L)とする。
- 春の剥皮作業時間は約5.2時間/人/10a(直径3cm程度以下は除外)で、放牧地造成に係る労働時間は約64%まで低減して作業の質も軽労働に変わり、資材費用は約74%まで低減する。(表3)
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成果の活用面・留意点 |
- およそ10年以上耕作放棄され林地化した遊休桑園で利用できる。
- 洗濯用澱粉糊の種類により溶解に要する水量は変わる。
- 播種翌年の放牧利用初年度から一般草地管理に準じた施肥管理を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
桑
軽労化
除草剤
施肥
播種
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