タイトル |
フラットベッドスキャナを用いた土壌および作物体の簡易診断システム |
担当機関 |
岩手県農業研究センター |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
高橋良学
大和田功((有)イグノス)
長谷川辰雄(岩手工技セ)
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発行年度 |
2006 |
要約 |
フラットベッドスキャナを用いて、土壌の全炭素含量の推定、作物の葉色の推定、土壌診断における比色分析を可能とする土壌および作物体の簡易診断システムを開発した。
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背景・ねらい |
安全・安心な農産物栽培の基本技術として、土壌診断にもとづく土づくり・栄養診断にもとづく適正施肥の重要性が見直されてきている。消費者に、より多くの安全・安心を届けるためには、より多くの圃場においてこれらの診断を実施し、適正な栽培管理を行うことが重要である。これには、より簡易で安価な診断システムが必要となる。そこで、フラットベッドスキャナを用いた簡易診断システムの開発を試みた。
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成果の内容・特徴 |
- フラットベッドスキャナを用いた土壌および作物体の簡易診断システムを開発した。このシステムは、試料容器、試料容器トレー、フラットベッドスキャナ、解析用ソフトウエアにより構成される。
- 本システムを用いて、湿潤土壌の色を解析することにより、土壌の全炭素含量(R2=0.840)を推定することができる(図1)。同様に、葉片の色を解析することにより、葉色値(SPAD値、R2=0.939)を推定することができる(図2)。
- 本システムを用いて、比色分析用試料の色を解析することにより、目的成分の含量を推定することができる(図3)。現在、アンモニア態窒素(インドフェノール法、R2=0.965)、可給態リン酸(モリブデン青法、R2=0.797)、リン酸吸収係数(バナドモリブデン酸法、R2=0.967)の測定において本システムの有効性を確認している。
- 本システムの使用手順は以下の通りである(図4)。
- 試料(土壌、葉片、比色分析用試料)を試料容器に封入する。
- 土壌:風乾砕土(2mm篩)2g程度を試料容器に封入し、最大容水量以上の水等を加え湿潤状態にする。
- 葉片:試料容器の直径以下に切り取った葉片を試料容器に封入し、紙等で押さえ容器底面に密着させる。
- 比色分析用試料:発色済みの試料溶液(検量線作成用標準試料および未知試料)をマクロピペット等で一定量(3ml)注入する。
- 試料容器を試料容器トレーに載せる。
- 試料容器トレーをフラットベッドスキャナの原稿面に載せ、解析用ソフトウエアで試料容器内の色を解析し、葉色・成分含量等の推定を行う。
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成果の活用面・留意点 |
- 葉緑素計(SPAD502)による葉色値測定は透過光を利用しているのに対し、本システムによる葉色値推定は反射光を利用している。現在、水稲では「ひとめぼれ」、「あきたこまち」、リンゴでは「ふじ」、「ジョナゴールド」で有効性を確認している。
- 土壌診断のための比色分析項目は今後拡充していく予定である。
- 本システムは岩手県内の企業より商品化される予定である。
- 本システムの導入コストは、葉緑素計および分光光度計の導入コストと比較しておよそ1/4程度となる見込みである。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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土壌診断
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