タイトル |
山間地向きの極良食味低アミロース米水稲新品種候補系統「東北181号」 |
担当機関 |
宮城古川農試 |
研究期間 |
1997~2006 |
研究担当者 |
永野邦明
松永和久
早坂浩志
黒田倫子
千葉文弥
宮野法近
佐々木都彦
遠藤貴司
我妻謙介
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発行年度 |
2006 |
要約 |
水稲「東北181号」は寒冷地中部では早生の晩に属する耐冷・耐病・低アミロース・極良食味系統である。宮城県で奨励品種に採用される予定で、山間地における低アミロース極良食味米として、地域特産品や加工米飯への活用が期待される。
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キーワード |
水稲、奨励品種、東北181号、早生の晩、耐冷性、低アミロース、極良食味
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背景・ねらい |
宮城県の山間高冷地や西部丘陵地帯では、早生の良質良食味品種「こころまち」を奨励普及しているが、平坦地の良食味米に比較して食味が不十分であるため、売れる米づくりを目指す上で大きな課題となっている。そこで「こころまち」に替わる、山間高冷地でも極良食味が生産可能な耐冷性・耐病性に優れる、早生低アミロース良質品種の開発を目指す。
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成果の内容・特徴 |
- 「東北181号」は、宮城県古川農業試験場において、早生の耐冷、耐病、極良食味低アミロース品種を目標とし、「東北157号」(後の「はたじるし」)を母、低アミロース系統の「東810」(「たきたて」の兄弟系統)を父として、1997年8月に人工交配を行い、その早期育成のために葯培養を利用して育成した系統である。
- 出穂・成熟期は「こころまち」並かやや遅く、育成地では早生の晩である。(表1)。
- 「こころまち」に比較して、稈長・穂長はやや短く、穂数はやや多く、草型は“偏穂数型”である。耐倒伏性は「こころまち」よりやや弱く“中”で、収量性は「こころまち」に優り、「スノーパール」並の多収である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pii”と推定され、圃場抵抗性は葉いもち・穂いもちともに“強”、障害型耐冷性は“極強”、穂発芽性は“やや難”である(表1)。
- 玄米千粒重は「こころまち」よりやや大きく、「スノーパール」より小さい。玄米の外観は低アミロース特有の濁りがある。アミロース含有率は登熟温度により変動し、高温年で4%、低温年で10%程度である。
- 食味は、粘りが極めて強く、味・香りとも良好で「ひとめぼれ」、「スノーパール」に優り、「たきたて」並の極良食味米である。粳米とのブレンド適性にも優れる(表1、2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 宮城県で奨励品種に採用され、山間高冷地帯の「こころまち」等に替えて地域特産品としての普及が見込まれる。普及見込み面積は300haである。
- ブレンド用、加工米飯用、和菓子用(だんご等)の多様な用途が期待される。
- 穂発芽性は“やや難”なので刈り遅れに注意し、適期収穫に努める。
- 高温登熟条件では玄米のアミロース含有率が低下して玄米の外観が白濁するので、極端な早植えや平坦地での作付けは避ける。
- 耐倒伏性は中程度なので極端な多肥栽培は避ける。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
いもち病
加工
新品種
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
良食味
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