イチゴの芽枯れ症状の耕種的軽減技術

タイトル イチゴの芽枯れ症状の耕種的軽減技術
担当機関 青森農林総研
研究期間 2002~2005
研究担当者 村上卓司
西舘勝富
岩瀬利己
木村一哉
発行年度 2006
要約 病原菌を特定できない原因不明のイチゴ芽枯れ症状の発症は、ポット育苗した苗を利用し、定植直後からビニール等で屋根を被覆して雨除けを行うことで軽減できる。
キーワード イチゴ、芽枯れ症状、ポット育苗、雨除け、耕種的軽減
背景・ねらい 芽枯れ症状は、始めに葉柄が褐変し、株の中心部の新芽や花芽が萎れた後、症状が激しい株は枯死に至るが、病原菌を特定できず、八戸市市川地区を中心に、半促成栽培の「麗紅」で主に保温開始後に発生している。特に、1998~1999年には、同地区で広範囲に芽枯れ症状がみられ、植え替えが行われるなど、大きな問題となった。
芽枯れ症状の発症を助長する要因として、(1)従来の露地育苗圃で採苗・仮植し養生後の苗を定植する方法から、仮植しないで露地育苗圃から直接採苗し定植する省力的な方法へ切り替えたこと、(2)本圃の地下水位が高く排水対策が不備なこと、(3)土壌中の塩類過剰や不均衡な塩基バランス等があげられ、これらが複合して地下部が生育不良となり、発症するものと考えられるため、現地の芽枯れ症状の発生圃場において、雨よけ、ポット育苗などの発症軽減効果を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 1997年~2005年までに畑作園芸試験場に持ち込みのあったイチゴ生育不良株を診断したところ、病原菌が特定できない原因不明の芽枯れ症状が51%と多数を占め(写真1)、その他では線虫害が13%、根腐病、萎黄病、萎凋病等の病害が19%、生理障害が17%であった(データ省略)。
  2. 半促成栽培の「麗紅」では、ポット育苗した苗を定植することにより、発症度・発生株率が無仮植苗の直接定植より低下し、芽枯れ症状の発生を軽減できる(表1)。
  3. 定植直後からビニール等で屋根を被覆して雨除けを行うことにより、発症度・発生株率が雨除けしない場合より低下し、芽枯れ症状の発生を軽減できる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、青森県八戸市の水田転換畑において、「麗紅」を用いた8月下旬定植、3月中旬収穫開始の作型(半促成栽培)で得られたものである。
  2. 雨除け後は、ハウス内温度がやや高くなり、乾燥や病害虫の発生が懸念されるので、適切なかん水と病害虫防除を行う。
  3. 圃場が滞水した場合に、十分な排水対策をとらないと、発症軽減効果が劣るので、事前に排水対策を施すとともに、台風や大雨により畦間が滞水する場合は、速やかに排水する。
  4. 基肥窒素施用量は、10a当たり15~20㎏とし、土壌診断による分析結果を考慮して、加減する。
  5. ポット育苗期の培土は、無病土を用いる。
図表1 232607-1.gif
図表2 232607-2.gif
図表3 232607-3.gif
図表4 232607-4.gif
カテゴリ 病害虫 萎黄病 育苗 いちご 害虫 乾燥 栽培技術 水田 生理障害 土壌診断 根腐病 病害虫防除

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