タイトル |
湿害回避により水田大豆の増収をはかる小畦立て栽培 |
担当機関 |
岩手農研 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
井村裕一
及川一也
高橋昭喜
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発行年度 |
2007 |
要約 |
小畦立て播種栽培は、水田大豆の湿害を軽減し、慣行平畦栽培に比べて概ね10 %増収する。小畦立て播種機は、代かきローターをベースに簡単に組み立てることができ、1行程で3~4条の施肥・播種作業が高能率でできることから大規模栽培に導入できる。
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キーワード |
水田大豆、湿害、小畦立て播種
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背景・ねらい |
近年の水田作大豆の増産にともない、排水不良の水田での湿害による収量低下が大きな問題となっている。そこで、平成17 年度に提案した研究成果情報「代かきローターを用いた水田大豆の小畦立て栽培」(技術・参考)を実現するために、小畦立て播種機の実用化を図るとともに農家圃場を用いて現地実証を行い、導入効果を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 「小畦立て播種機」は、トラクタ装着型で、代かき用ハローの耕耘爪配列の改変と播種機アタッチメントの装着により組み立てるが、10cm 程度の畦を立てながら3~4条の施肥同時播種を行う作業機である(図1)。
- 気象条件や圃場条件により湿害軽減程度が違うため、播種後少雨条件であったり、排水性が極良好な圃場では増収が期待できないこともあるが、慣行平畦栽培と比較すると概ね10 %増収する(表1)。
- 播種機の作業可能面積(負担面積)は13.6 ~ 20.9ha と試算され、水田大豆の大規模経営体に導入できる(表2)。
- 岩手県で策定した農業技術体系を基に、水稲30ha・大豆15ha複合経営体で大豆小畦立て栽培の導入により10%増収する前提で試算すると、所得向上は現行収量水準150kg/10a で430 千円、同200kg/10a で554 千円である(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 暗渠、明渠、補助暗渠を組み合わせた排水対策を必ず行う。また、圃場の均平度も重要であることから事前耕起作業などには細心の注意を払う。
- 小畦立て播種機の組み立てに際して、利用できる代かきハローの機種は幅広いことから改良に必要な経費も違ってくるが、6~ 11 万円程度(播種機を除く)であり、組み立てに要する時間も約2~3時間である。
- 栽培に関しては慣行大豆栽培基準に準じるが、分枝発生などの初期生育が促進されるなど湿害回避効果が大きい場合に、生育量が従前より優ることがあるため播種量等を勘案する。また、条間の合わせ目精度がその後の管理作業に支障を来すことから線引きマーカー等を装着する必要がある。
- 畦間の排水対策などを兼ねてチゼル爪等の付加が可能であるが、作業機の強度等を十分考慮して装着する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
経営管理
湿害
水田
施肥
大規模経営
大豆
排水性
播種
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