大豆「リュウホウ」のちりめんじわ粒の晩播栽培による抑制効果

タイトル 大豆「リュウホウ」のちりめんじわ粒の晩播栽培による抑制効果
担当機関 秋田農技セ農試
研究期間 2006~2007
研究担当者 井上一博
佐藤雄幸 
発行年度 2007
要約 リュウホウのちりめんじわ粒は作付条件に関わらず、子実水分が急激に低下する成熟期2~5日前から増加する。播種期を遅くすることで子実水分低下は緩慢となるため、晩播栽培による抑制効果が認められる。
背景・ねらい 秋田県産大豆「リュウホウ」はしわ(ちりめんじわ)粒による農産物検査における1、2等の上位等級への格付比率が低く、生産振興上の問題となっている。このため、しわ粒発生要因について作付条件及び播種期による子実水分低下の違いから解明し、外観品質向上のための技術的対策を提示する。
成果の内容・特徴
  1. ちりめんじわ粒は成熟期前5日以前ではほとんど発生はみられないが、成熟期の2~5日前頃から増加する。作付条件(連作、輪作)による発生の様子に大きな差はなく、成熟期前に収穫し室内で乾燥を行った場合の発生は少ないことから、登熟不良によるものではなく、子実水分が低下していく過程で発生するものとみられる(図1、図2)。
  2. 大豆の子実水分は成熟期前5日(子実水分50 %)頃から急激に低下し、標播では1日当たり5~6%程度低下する。作付条件による子実水分低下に大きな差はないが、播種期を遅くすると成熟期付近の子実水分低下は緩慢となる傾向がある(図2)。
  3. ちりめんじわ粒は播種期が遅いほど少なくなり、極晩播ではほとんど発生はみられない。大豆の収量は播種期の遅れにより低下するが、晩播と標播の差は比較的少ない。百粒重についても同様である。粒度比率は小粒比率が特に高まることはない。品質は晩播、極晩播が優れ、蛋白含量は遅い播種期で高まる(表1)。
  4. 晩播は標播と比べ成熟期は10 日程度、極晩播では23 日程度遅くなる(表1)。
  5. 収穫時期によるしわ程度の差は小さいが、収穫時期が遅くなるほど品質は低下するため適期収穫を行うようにする。晩播は標播と比べ品質低下が少ない(表2)。
  6. 以上から「リュウホウ」のちりめんじわを抑制するには成熟期付近の子実水分低下が緩慢となる6月下旬頃の晩播栽培が有効である。
成果の活用面・留意点
  1. 調査結果で示したちりめんじわ粒率は全調査粒数に占めるちりめんじわ粒数の比率であり、しわの程度(深さ、大きさ、数など)は加味していない。程度の軽いちりめんじわ粒もカウントしているため農産物検査における見方と一致してはいない。
  2. 晩播栽培は生育量不足による減収の危険を伴うことから、播種密度を高める。このため、畦幅、株間等、作業機の設定を変更する必要がある。成熟期が遅くなることから、大規模作付の場合は部分的に取り入れることが望ましい。
  3. ちりめんじわ粒に類似した凹凸、深いしわ、子実の変形を伴うあばたじわ粒については発生機構が異なるとみられるため、本技術は適用できない。
図表1 232642-1.gif
図表2 232642-2.gif
図表3 232642-3.gif
図表4 232642-4.gif
カテゴリ 乾燥 しわ粒 大豆 播種 輪作

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