タイトル |
ファン付き作業着(商品名:空調服)の利用による高齢者の農作業の軽労化 |
担当機関 |
宮城農園研 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
相澤正樹
山村真弓
小林恭(中央農業総合研究センター)
|
発行年度 |
2007 |
要約 |
空調服の着用により、作業者の体表面温度が低下し高齢者の農作業負担の軽減に有効である。熱線カットタイプと慣行の空調服は、同程度の温度低下効果が認められる。また、高齢作業者の総合評価では、9 割以上が良いまたはやや良いと評価している。
|
キーワード |
空調服、高齢者、作業負担、軽労化、刈払い作業、ブルーベリー収穫作業
|
背景・ねらい |
高齢者が農作業を行う場合の負担を軽減し、安全に作業できる農作業基準の作成や作業方法の見直しを行う。ここでは、高温環境下の作業において負担軽減効果の期待できる空調服(2 種類)の負担軽減効果や着用感などの使い心地を確認する。
|
成果の内容・特徴 |
- 空調服の着用により、刈払い作業(作業負担の比較的重い露地作業)とブルーベリー収穫作業(作業負担の比較的軽い露地作業)の作業負担が軽減する(表1)。
- 素材別の空調服の作業負担は、刈払い作業とトマト収穫作業(作業負担の比較的軽い施設内作業)では、同程度となる。WBGT温熱指標と作業着下の温度差は熱線カットタイプPN-500N方が少ない(表2)。
- ブルーベリー収穫作業ではPN-500N を着用した場合のWBGT温熱指標と作業着下温度との差は、一般的な作業着より2~5℃程度低下する。ただし、送風しないと効果はない(図1)。
- 高齢作業者の着用作業後の総合評価では、91%が良いまたはやや良いと評価している(図2)。また、素材別の比較では、半数以上がPN-500N方がM-500U より涼しさを感じると答え、両方とも涼しさを感じると答えた高齢者を加えると90%以上の作業者が体感的な良さを感じられる。
|
成果の活用面・留意点 |
- 供試したファン付き作業着は、腰の左右両側に2 個の送風用ファンが取り付けられた(株)空調服社製の空調服2 種類(M-500U(素材:綿、標準小売価格12,000 円/着)、PN-500N(金属チタンをスパッタリング加工したポリエステル素材・熱線カットタイプ))である。作業時は、強送風で連続送風している。
- 刈払い作業では、空調服の下にオプションのインナースペーサー(背中や肩の空気流通路を確保するプラスチック製の背当て(190g))を着用している。その他は空調服のみ着用。
- 作業着下の温度は、作業着と下着の間に温度センサー(エスペックミック社製サーモレコーダー)を取り付け、1 分間隔で計測した。また、空調服間の比較では、作業着以外の下着は同一のもの(㈱モンベル製ブリーズスパンTシャツ(ポリエステル素材))を着用した。
- WBGT(Wet Bulb-Globe Temperature Index(湿球・黒球温度指数))は、湿球温・黒球温・乾球温を計測し、算出する作業者の熱ストレスを評価する温熱指標である。WBGTと労働強度(RMR)の許容値が日本産業衛生学会から勧告されている。
|
図表1 |
|
カテゴリ |
加工
軽労化
トマト
ブルーベリー
|