タイトル |
多収・良食味の水稲新品種「秋田89号」の育成 |
担当機関 |
秋田農技セ農試 |
研究期間 |
1995~2007 |
研究担当者 |
加藤和直
小玉郁子
松本眞一
川本朋彦
田村里矢子
眞崎聡
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発行年度 |
2007 |
要約 |
水稲「秋田89号」は“中生の晩”の粳種である。「ひとめぼれ」と比較し、いもち病圃場抵抗性は葉いもちが“中”、穂いもちが“やや強”といずれも強く、耐冷性は同程度の“極強”、収量性は高い。玄米は千粒重が大きく良質で、食味は「あきたこまち」並に良好である。
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キーワード |
イネ、秋田89号、多収、良質、良食味
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背景・ねらい |
秋田県では「あきたこまち」に偏重した作付けが続いており、それが作業の効率化を阻害し品質・食味のバラツキの原因となっている。また、近年では恒常的な在庫の発生が問題となっている。そこで、「あきたこまち」の作付偏重を是正し多様なニーズに対応するために、作り易く多収で安定生産可能な良質・良食味品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲「秋田89号」は、秋田県農林水産技術センター農業試験場において中生の多収・良食味品種を目標とし「岩南8号」を母、「秋田58号」を父として1995年に人工交配を行い、その後代 より育成した品種である。2007年11月に種苗法に基づく品種登録の出願をした。
- 出穂期、成熟期ともに「ひとめぼれ」並で、育成地では“中生の晩”に属する(表1)。
- 稈長は「ひとめぼれ」並、穂長は「ひとめぼれ」よりやや長く、穂数は「めんこいな」並で、草型は“中間型”に属する(表1)。稈の太さは“中”で、耐倒伏性は「めんこいな」並の“やや強”である(表1)。籾には短芒を生じ、穎色は“黄白”、ふ先色は“白”である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pia、Pii”を持つと推定され、圃場抵抗性は「ひとめぼれ」よりも強く葉いもちが“中”、穂いもちが“やや強”である(表1)。耐冷性は「めんこいな」よりも強く「ひとめぼれ」と同じ“極強”、穂発芽性は「めんこいな」と同じ“中”である(表1)。 収量性は「ひとめぼれ」より優る(表1)。
- 玄米は千粒重が「ひとめぼれ」、「めんこいな」より1g以上大きく、品質は「ひとめぼれ」並に良好で“上中”である(表1、図1)。
- 玄米粗蛋白質含率は「めんこいな」より低く「ひとめぼれ」並である(表1)。
- 食味は「あきたこまち」並の“上中”である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 適応地帯は秋田県内平坦部一円で、10,000ha程度の普及が見込まれる。
- 穂発芽性が「中」と不十分であることから、適期刈り取りに努める。
- 耐倒伏性は「やや強」であるが、安定的に良質米を得るために多肥栽培は避ける。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
いもち病
新品種
水稲
多収良食味
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
良食味
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