玄米タンパク含有率と品質を良好に保つ穂揃期の葉色指標の作成

タイトル 玄米タンパク含有率と品質を良好に保つ穂揃期の葉色指標の作成
担当機関 宮城古川農試
研究期間 2004~2007
研究担当者 佐々木次郎
小野寺博稔
関口 道 
発行年度 2007
要約 穂揃期の稲体の窒素栄養状態を示す窒素保有量や葉色に気象要因を加味した玄米タンパク含有率の予測式と玄米の充填示数から、玄米タンパク含有率と品質を良好に保つための穂揃期の葉色の範囲を籾数レベルごとに設定できる。
キーワード 玄米タンパク含有率、玄米品質、止葉葉色、穂揃期窒素保有量、玄米充填示数
背景・ねらい コメの食味に関わる玄米タンパク含有率や登熟期の高温障害で発生する白未熟粒による品質低下には、穂揃期の稲体の窒素栄養状態が影響している。葉色が濃い方が光合成活性は高まり登熟・品質には望ましい一方、濃すぎると玄米タンパク含有率が高まり食味の低下につながっている。これまで、品質・食味を両立させるために、適正な籾数レベルで食味が低下しない程度に穂揃期の葉色を濃く維持するという曖昧な表現にとどまってきた。このため、窒素栄養面からみた品質・食味が両立する栽培指標が求められている。
そこで、水稲品種「ひとめぼれ」を例えとして白未熟粒の発生を抑えながら食味を良好に保てる籾数レベルごとの穂揃期の葉色範囲を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 玄米タンパク含有率の変動要因を考慮して、穂揃期の窒素保有量と止葉葉色(SPAD502)にでんぷん合成に関わる項目として出穂前後の50 日間の日照時間を取り入れることにより、玄米タンパク含有率を精度よく予測できる。未知試料に対する予測誤差は0.26%である(図1)。
    玄米タンパク含有率=0.197×穂揃期窒素保有量(g/㎡)+0.128×穂揃期止葉葉色
    -0.008×出穂前後の50 日間の積算日照時間+3.048(R2=0.841)・・・(式1)
  2. 玄米の充填示数から白未熟粒の発生率が推定できる(図2)。充填示数は、光合成活性に関係する窒素栄養に高温障害危険期の気温条件を加味して玄米1粒当たりの同化産物の詰まり具合を評価しようとするもので、示数が13 を下回ると白未熟粒の発生が増える傾向にある。
  3. ㎡当たり籾数は穂揃期までに吸収した窒素量と相関があり(図3)、玄米タンパク含有率の予測式(式1)と玄米の充填示数(式2)に組み込んである穂揃期の窒素保有量から籾数レベルごとに食味・品質の評価が可能である。
  4. 想定される気象条件を代入すれば、白未熟粒の発生を5%程度に抑え、玄米タンパク含有率を8%(乾物)以内に保つための籾数と穂揃期の葉色の範囲が式1・2から設定でき,栽培暦などで生育の管理目標として利用できる葉色指標を作成することができる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 玄米タンパク含有率の目標値は任意に設定でき、式1から目標値を達成するための葉色を窒素保有量(籾数)ごとに算出できる。
  2. 各地域の葉色指標は、地域の気象条件を代入し作成する必要がある。なお、表1の葉色の指標作成にあたり、AMeDAS 古川での出穂前後50 日間の積算日照時間200 時間、出穂後11~20 日間の積算気温日較差80℃、さらに千粒重(粒厚1.9mm 以上)22.5g を用いている。
図表1 232704-1.gif
図表2 232704-2.gif
図表3 232704-3.gif
図表4 232704-4.gif
図表5 232704-5.gif
カテゴリ 肥料 高温対策 品種 良食味

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