タイトル |
有機質資材の層状施用とプール育苗の組合せによる有機水稲育苗技術 |
担当機関 |
秋田農技セ農試 |
研究期間 |
2007~2007 |
研究担当者 |
金田吉弘(秋田県立大学)
金和裕
佐藤孝(秋田県立大学)
石田頼子
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発行年度 |
2007 |
要約 |
水稲有機栽培における育苗では、pHの高い有機質資材は育苗箱の底面に層状に施用することにより床土のpHが上昇せず、プール育苗で管理することにより生育ムラの少ない苗が生産できる。
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キーワード |
水稲、有機農業、育苗、有機質資材、層状施用、プール育苗
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背景・ねらい |
水稲有機栽培では、育苗時に様々な有機質資材が使用されている。これらの資材は窒素無機化特性が異なるとともにpH が高いものもあり育苗時に生育ムラや病害が多く発生することが問題となっている。一方、プール育苗は苗立枯病の発生を抑制し,床土量に関わらず生育ムラが少ないことが報告されている.ここでは,有機栽培に対応した安定育苗技術を確立するため、表1 に示すように有機質資材の種類、施用方法およびプール育苗の適否を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- pH高い有機質資材は、床土に混和して施用すると床土のpH が上昇する。しかし、育苗箱の底面に層状施用することによって床土のpH上昇を抑えることができる(表2)。
- 有機質資材を育苗箱の底面に層状施用しても、混和施用と比べ苗の形質(草丈、葉数、乾物重等)に差は認められない(表3)。
- 有機質資材施用区では、プール育苗で栽培することにより慣行育苗に比べ苗の生育ムラ(苗形質および養分含有率の変動係数)が小さくなる傾向にある(表3、表4)。
- 資材A、B は、それぞれ箱当たり現物で60g、100g 施用しても化成区のプール育苗に比べ苗形質が劣り、窒素含有率が低い(表3、表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 有機質資材は、資材によって育苗期間中の窒素無機化率、リン酸、カリ含有率が異なることから資材の選定、施用量の決定には注意を要する。
- 供試した有機質資材および化成肥料のpH と保証成分(原料) は、
有機質資材A pH:5.8、N:P2O5:K2O (%) = 7.2:4.0:2.5 (魚肉・胚芽タンパク質) 有機質資材B pH:8.4、N:P2O5:K2O (%) = 3.6:3.4:3.2 (鶏ふん) 化成肥料N:P2O5:K2O (%) = 5.0:8.0:5.0
- 各有機質資材の窒素無機化特性値(進藤ら、未発表)と苗箱の地温から推定した育苗期間中の窒素無機化率は、資材A は46.7 %、資材B は32.7 %である。
- 本成果で、品種は「あきたこまち」、床土・覆土はいなほ加工(株)の無肥料培土を使用した.
- 本成果は有機栽培における中苗育苗で活用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
有機農業
有機栽培
土づくり
肥料
育苗
加工
水稲
立枯病
鶏
品種
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