タイトル |
積雪寒冷地におけるイチゴ四季成り性品種による夏秋どり栽培体系 |
担当機関 |
秋田農技セ |
研究期間 |
2003~2007 |
研究担当者 |
林浩之
田口多喜子
渋谷功
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発行年度 |
2007 |
要約 |
雨よけハウスにおいて、四季成り性品種「エッチエス- 138」の株冷蔵苗を4月下旬に定植することで、土耕栽培による7月から10 月までの夏秋どりが可能であり、株当たり410 ~ 570 gの商品果収量が得られる。
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キーワード |
イチゴ、四季成り性品種、春定植、経営モデル
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背景・ねらい |
東北地域の日本海側中山間地帯におけるイチゴ産地では、一季成り性品種を用いた露地栽培とハウス株冷栽培の組合せが行われており、8~9月は完全な端境期となっている現状である。そこで、設備投資の少ない雨よけ土耕栽培により、四季成り性品種を用いた夏秋期の栽培体系を確立し、出荷期の拡大と農家経営の改善を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 雨よけ土耕栽培で「エッチエス-138」の株冷蔵苗を用いて、消雪後の4月下旬に定植し夏秋期に収穫する作型である。定植は、株冷蔵苗を直接またはポット仮植した苗を用いる。定植後は、株養成のため5月に出蕾する花房を摘除し、6月以降に出蕾する花房に着果させて、7月から10 月まで連続収穫する(図1)。
- 出蕾数が多い「エッチエス- 138」では、6月以降に4~5花房を着果させた後、8月中旬まで出蕾する花房を摘除することで9月中の収量が増え、さらに、果房当たり8果程度に摘果することで商品果収量が増える(図2)。標高400m中山間高冷地では出蕾数が少なくなるので(データ略)、6月以降の花房摘除は行わない。
- 7月~ 10 月の商品果収量は、平坦部で560 ~ 570 g/株(270 kg/ a)であり、定植期の遅い中山間高冷地で400 ~ 480 g/株(180 ~ 210 kg/ a)である(図3)。
- 「稲+イチゴ」の複合経営に、四季成り性品種を導入した営農モデルでは、家族経営で雨よけ四季成り性イチゴ10 a、露地一季成り性イチゴ12 aで640 万円、雇用経営で雨よけ四季成り性イチゴ14 a、露地一季成り性イチゴ17 aで718 万円の所得が期待できる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- この体系は「エッチエス- 138」などの出蕾数の多い品種に適用できる。
- 苗は種苗業者を通して株冷蔵苗が供給される。水稲育苗後の施設を利用する場合は、約1 カ月間ポット仮植を行う。
- 「エッチエス- 138」は中程度の萎黄病抵抗性があるが、連作する場合は冬期間にクロルピクリンくん蒸剤による土壌消毒処理を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
萎黄病
育苗
いちご
経営管理
経営モデル
栽培技術
栽培体系
出荷調整
水稲
中山間地域
抵抗性
土壌消毒
品種
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