タイトル |
9月下旬に成熟する着色容易なリンゴ新品種「岩手7号」 |
担当機関 |
岩手農研セ |
研究期間 |
2002~2008 |
研究担当者 |
奥平麻里子
高橋司
小野浩司
大野浩
田村博明
畠山隆幸
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発行年度 |
2008 |
要約 |
リンゴ「岩手7号」は9月下旬に成熟する赤色品種である。樹姿は開張性、樹の大きさおよび樹勢は中程度で、果皮を被う色は濃赤色から暗赤色で、着色が容易な品種である。果汁多く、酸味が穏和で食味良好である。
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キーワード |
新品種、リンゴ、「岩手7号」、中生種
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背景・ねらい |
本県で栽培されているリンゴ品種は、「ふじ」の割合が約40%と高く、晩生種に偏重した構成となっている。近年、「千秋」の栽培面積が減少したことから、早生種収穫以降中生種収穫前の9月下旬に収穫できる優良品種が望まれている。また、県北部・高標高地帯では「ジョナゴールド」や「ふじ」の熟期が遅れることから、中・晩生の優良品種開発が期待されている。そこで、果実品質ならびに栽培特性に優れた岩手オリジナルリンゴの中・晩生の優良品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 来歴
「つがる」×「不明」 平成3年に交雑。平成12年に初結実し二次選抜に編入。平成13年に三次選抜に編入し、平成20年3月に「岩手7号」で品種登録出願。出願公表平成20年3月11日。 - 特性概要
1.生態及び樹性 1.熟期は、育成地(北上市)において9月下旬である。「つがる」より遅く、「ジョナゴールド」より早く、「千秋」とほぼ同時期である(表1)。 2.開花期は、「ふじ」とほぼ同時期である(表2)。 3.樹姿は開張性、樹の大きさおよび樹勢は中程度である。 - 果実の特性
1.果形は円、玉揃いは中、果実重は原木で250~300g程度である(表1)。現地試験の高接ぎにおいては350gを超える事例もある。サビの発生は少ない。 2.果皮を被う色は濃赤色から暗赤色で全面に着色する(図1)。 3.糖度は13~14%(Brix.)、酸度は0.3~0.4g/100mlであり、果汁が多く酸味が穏和で食味良好である(表1)。まれに蜜が入る。 4.収穫果の日持ち性は、普通冷蔵(4℃)で約1ヶ月、常温で10日程度と推察される(表3)。 5.収穫時および貯蔵後も脂質の発生は少なく、また、つる割れ、収穫前落果など目だった欠点は現在確認されていない。
- 活用面
1.早生種と中生種の収穫の端境期に成熟することから、赤色系品種のリレー出荷が可能である。 2.収穫、選果場における集荷および選果のピークを分散し、労力分散につながる。
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成果の活用面・留意点 |
- 活用面
1.早生種と中生種の収穫の端境期に成熟することから、赤色系品種のリレー出荷が可能である。 2.収穫、選果場における集荷および選果のピークを分散し、労力分散につながる。 - 留意点
1.受粉親和性に関わるS遺伝子型はS3S9であり、黄香(S3S9)、ジョナゴールド(S2S3S9)の受粉樹には適さない。 2.収穫適期については、着色だけでなく果実品質を確認し判断する。 3.本品種の種苗の配布は平成22年3月31日まで岩手県内のみの配布制限を行う。但し、期限終了時に更新の可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
出荷調整
受粉
新品種
高接ぎ
品種
品種開発
良食味
りんご
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