畑地土壌における各種堆肥の窒素肥効特性と可給態窒素の簡易分析法

タイトル 畑地土壌における各種堆肥の窒素肥効特性と可給態窒素の簡易分析法
担当機関 山形農総研
研究期間 2006~2008
研究担当者 森岡幹夫
熊谷勝巳
齋藤 寛 
発行年度 2008
要約 畑地土壌における堆肥の窒素肥効率は可給態窒素量(無機態窒素+MAP+PEON量)と相関が高く、無機態窒素とMAPは比較的肥効が早く、PEONの肥効は遅い。PEON量は抽出液に濃硫酸を添加して腐植物質を沈殿させた後、280nmの吸光度を測定して簡易に分析できる。
背景・ねらい 地域バイオマス資源の利用促進を図るためには、施用する堆肥の肥効特性を把握して、堆肥に含まれる養分肥効を考慮した施肥設計が必要となる。しかし、堆肥は原料や副資材、腐熟度により窒素含有量や肥効が異なり、各種堆肥の可給態窒素量を測定するための検討が多くされている。また、堆肥の可給態窒素の測定は、様々な抽出法、ドラフト装置での分解や窒素蒸留法による測定など分析が煩雑であった。そこで、各種堆肥の可給態窒素の特性把握と簡易分析法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 完熟堆肥の形態別窒素含有量は、畜種により異なり、豚ぷん堆肥や鶏ふん堆肥ではアンモニウム態窒素や0.5M塩酸で抽出されるリン酸マグネシウムアンモニウム態窒素(MAP)、1/15Mリン酸緩衝液で抽出される堆肥の有機態窒素(PEON)が多く、牛ふん堆肥や作物残さ堆肥では少ない(図1)。また、無機態窒素とMAPとPEONを合計した量(以下、可給態窒素量とする)は、C/N比が低い堆肥ほど多い。豚ぷん堆肥や鶏ふん堆肥の中でもC/N比が低い堆肥は、PEON含有量が多い傾向にある。
  2. 畑地土壌における堆肥の窒素利用率や窒素肥効率は可給態窒素量と相関が高く、時期別窒素利用率との相関係数から無機態窒素とMAPの肥効は比較的早く、PEONの肥効は遅いと推測される(表1)。
  3. リン酸緩衝液による堆肥の抽出液20mlに濃硫酸0.5mlを添加して撹拌して腐植物質を沈殿させた後ろ過し、ろ液を10倍に希釈して280nmの吸光度を測定することにより、堆肥に含まれるPEON量を簡易に分析することができる(図2)。
    このときの換算式は、y=0.855x2+1.9838x+0.099であり、回帰式の決定係数はR2=0.9392である。(y:PEON(g/kg)、x:280nmの吸光度ABS)
成果の活用面・留意点
  1. 栽培試験及び簡易分析には、県内で生産されている牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥、鶏ふん堆肥、作物残さ由来堆肥など92点の粉砕試料を使用した。
  2. 堆肥の窒素肥効率は、「堆肥の窒素利用率」を「化学肥料の窒素利用率」で除した値から求めた。堆肥の窒素利用率は、県内で生産されている牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥、鶏ふん堆肥などの完熟堆肥を供試したキャベツのポット栽培の窒素吸収量から差し引き法により求めた。
  3. リン酸緩衝液による抽出は、温度による影響を受けるので、抽出温度は室温(20℃)とする。
図表1 232855-1.png
図表2 232855-2.png
図表3 232855-3.png
カテゴリ 肥料 キャベツ 施肥

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