タイトル | アブラナ科植物の胚発生初期に特異的なプロモータ |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
高畑義人(岩手大学) 大山暁男 池田達哉(近農研) 布目司 福岡浩之 矢野博(近農研) |
発行年度 | 2002 |
要約 | ナタネ不定胚誘導特異的遺伝子のプロモータ領域P22a1を単離した。このプロモータはアブラナ科植物において、マーカー遺伝子の発現を接合子胚および不定胚の発生極初期から胚嚢、胚および胚乳細胞に特異的に強く誘導する。 |
キーワード | アブラナ科、胚発生、特異的プロモータ、バイテク |
背景・ねらい | アブラナ属野菜の小胞子培養による不定胚誘導系はその効率の高さや遺伝的半数性から遺伝子組換えを含む育種技術の高度化に有用であるとともに、胚発生のモデルとして胚発生や種子生理を研究する上で重要な技術である。そこで、不定胚誘導系を利用した遺伝子組換え技術開発および胚発生誘導機構の解明のためのツールとして、胚発生の極初期から胚特異的に任意の遺伝子を強く発現誘導することのできるプロモータを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ナタネ小胞子胚発生の極初期に強く発現する遺伝子として蛍光ディファレンシャルディスプレー法によって検出された胚発生特異的遺伝子22a1のプロモータ領域をinverse PCR法によって単離した(DDBJ accession no. AB098076)。 2. 22a1プロモータ(P22a1)は胚発生の極初期から、胚組織特異的に導入遺伝子を強く発現誘導する。葉、根、花粉などでは全く発現しない(データ略)。この特異性は受精による接合子胚発生と培養における小胞子由来の不定胚誘導系の両者に共通している(図1、図2)。 3. CaMV35Sプロモータは不定胚発生過程において魚雷型前期までは全く活性を持たない。培養初期に活性を持つ細胞がわずかに認められるが、これらは胚を形成しない(図1)。 4. P22a1は胚以外に、受精前の胚嚢および胚乳細胞においても活性を持つ(図2)。 5. P22a1の-353から-249の間にはプロモータ活性に大きく影響するエンハンサー様の領域が存在する(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. このプロモータは胚発生開始前後のエンブリオジェニックな細胞の標識・選別など、胚発生誘導機構や種子形成の研究素材として利用できる。 2. 致死遺伝子の発現による胚嚢・初期胚の選択的不活化、遺伝子導入操作における選抜マーカー遺伝子の胚特異的発現誘導など、遺伝子組換え育種技術開発のツールとしても利用可能である。 3. アブラナ科以外の作物ではプロモータとしての活性と発現特異性を予め確認する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | あぶらな 育種 なたね |