タイトル | チャの炭疽病拡大抵抗性検定法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 2001~2002 |
研究担当者 |
吉田克志 武田善行 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 硬化した成葉にチャ炭疸病菌を付傷接種し、オアシス育苗形成培地を使用した実験系で2週間培養すると、炭疸病拡大抵抗性の差異に基づく病斑が形成され、抵抗性を4段階に評価できる。 |
キーワード | チャ、チャ炭疸病、拡大抵抗性検定法 |
背景・ねらい | チャ炭疸病はチャの重要病害であり、多発生時には翌年の一番茶収量が減少する。緑茶品種の多くが炭疸病に罹病性であるため、炭疸病抵抗性品種の育成が必要とされているが、既存の炭疸病抵抗性検定法は圃場における炭疸病抵抗性の強さを的確に反映できない場合が多く、信頼性・再現性に問題がある。そこで,チャの炭疸病について信頼性・再現性が高い、簡便な抵抗性検定法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 接種に用いる炭疸病胞子懸濁液は、ジャガイモ蔗糖液体培地に増粘剤としてメチルセルロース400cPを3%(w/v)加え、これにオートクレイブした茶葉上で3週間培養したチャ炭疸病菌胞子懸濁液を最終濃度1×107個/mlになるように加えて作製する。 2. 木化した枝の十分に硬化したチャ成葉を切り離し、チャ炭疸病胞子懸濁液を付着させた3mm幅のマイナスドライバーで十字型に付傷接種し、一晩26℃の湿室の暗黒下で静置する。その後、植物の状態を良好に保つために、オアシス育苗形成培地に接種葉を挿し、湿室条件下で2週間培養すると、炭疸病の病斑が形成される(図1)。 3. 炭疸病の病斑の大きさを判断基準に炭疸病拡大抵抗性の程度を評価すると、抵抗性極強(3mm未満)、抵抗性強(3-5mm未満)、抵抗性中(5-8mm未満)および抵抗性弱(8mm以上)の4段階に類別される。圃場における炭疸病抵抗性の評価と本検定法の結果を比較すると、圃場の評価と同等もしくはより厳しい判定結果が得られることから、拡大抵抗性の程度を判断基準にチャの炭疸病抵抗性を評価できる(表1)。 4. 冬季(12月)および夏季(7月)に茶葉を採取し、抵抗性を検定すると、供試時期の違いにかかわらず抵抗性の程度に応じた再現性の高い結果が得られる(図2)。 5. 本法によるチャ30品種の炭疸病抵抗性の検定結果は表2に示すとおりである。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 1品種につき少なくとも6枚以上の成葉を用いて検定を行う。 2. 完全に木化していない枝の硬化不十分な若い葉もしくは葉層下面の古い葉では検定結果に誤差が生じるので使用を避ける。 3. 炭疸病発生個体から採取した茶葉は全身獲得抵抗性により炭疸病抵抗性が誘導されている可能性が高いので、検定に用いることを避ける。 4. 表2に示す以外の100種以上のチャ品種・系統の炭疸病抵抗性の検定に使用できることが確認されている。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 育苗 炭疽病 茶 抵抗性 抵抗性検定 抵抗性品種 ばれいしょ 品種 |