タイトル | 牧ノ原台地における強酸性地下水の流出特性 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
松尾喜義 野中邦彦 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 牧ノ原台地の集団茶園地帯から流出する地下水は、牧ノ原レキ層最下部の基盤付近から常時湧出する湧水ではpH4.5内外であるが、豪雨後の数週間一時的にレキ層途中からわき出る宙水の湧水では、より酸性が強くアルミニウムイオン濃度も高い。 |
キーワード | 茶園、地下水汚染、流出特性、牧ノ原台地、宙水 |
背景・ねらい | 長年茶の栽培が続けられてきた牧ノ原台地では、過剰な窒素施肥によって土壌が強酸性化して台地から流出する地下水も強酸性を呈する場合が多い。そこで、牧ノ原台地から茶園の強酸性地下水が水系に流出する特性を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 牧ノ原台地北部、静岡県榛原郡金谷町の野菜茶業研究所金谷茶業研究拠点近辺では、標高200m内外の台地平坦面が古くから茶園として利用されている。台地平坦面上から深さ約20mまでレキと砂および粘土からなる牧ノ原レキ層があり、それより下層は基盤泥岩層がある。レキ層の途中には比較的粘土が多い部分(4.5m、8.5m)があり、周囲より透水性が悪くなっている(図1.ボーリング柱状図) 2. 台地の湧水は通年枯れない湧水が台地斜面の標高170~190mに分布し、牧ノ原レキ層最下部(標高約180m)からの湧水はpH4.5内外で水温・水質は比較的安定している。湧水の湧出量は降雨に反応して変動するが、標高の高い地点の湧水は、標高の低い湧水より大きな変動を示す(図2、牧ノ原レキ層基底面湧水の湧出量)。 3. 日降水量100mmを超える豪雨があると、通常は湧水のない台地端のガケ(台地面から6~15m下)や、茶園面から約3m下の茶園法面末端から茶園地下水の一時的な湧出が発生する。茶園法面湧水は豪雨後2,3日以内に停止するが、ガケの湧水は2~3週間湧出が持続する。ガケの湧水はpH4.0と強酸性でアルミニウム濃度も高い(表)。 4. ガケ湧水は、牧ノ原レキ層中の比較的透水性の悪い粘土の多い部分に豪雨後に形成される宙水が直接外部に湧出したものと考えられる(図3.台地地下水の模式図)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 牧ノ原台地でも場所によって基盤の地質構造にかなりの差異があり、流出水が強酸性を呈しない地帯もある。また、牧ノ原レキ層にも場所による堆積構造の差異があり、宙水層が見られない地域もあるので、対象とする地域の地質特性について十分検討する必要がある。 2. 集団茶園地帯からの流出水対策を考える場合、茶園流出水の流出特性や水質が地域の地質構造と密接に結びついている点に十分留意する必要がある。 3. 強酸性の茶園流出水は水系生物への影響が大きいと考えられるので、茶園流出水の影響軽減対策においては豪雨後一時的に流出する宙水に留意する必要が大きい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 施肥 茶 |