茶生葉中γ−アミノ酪酸(GABA)の生成経路

タイトル 茶生葉中γ−アミノ酪酸(GABA)の生成経路
担当機関 (独)農業技術研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 1999~2002
研究担当者 吉冨 均
山口優一
澤井祐典
発行年度 2002
要約 茶生葉を嫌気処理するとアスパラギン酸とグルタミン酸からγ-アミノ酪酸(GABA)とアラニンが生じるが、アラニンは続いて好気処理を行うとグルタミン酸に変化し、その後の嫌気処理でGABAに変化する。また、グルタミンもグルタミン酸を経てGABAに変化する。
キーワード γ-アミノ酪酸(GABA)、嫌気処理、好気処理、安定同位体、生成経路
背景・ねらい 嫌気処理した葉から製造した茶は、血圧上昇抑制作用のあるγ-アミノ酪酸(GABA)を多く含み、1987年以来ギャバロン茶として市販されている。1998年には嫌気処理と好気処理を交互に行うことによりGABA含量が大幅に高まることが発見された。GABAは嫌気条件下でグルタミン酸より生じるが、嫌気処理と好気処理を繰り返した際のGABA増加量は、原葉のグルタミン酸含量を上回っており、グルタミン酸だけではGABA生成経路は説明できない。そこで安定同位体を用いてGABA生成経路を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
茶生葉を嫌気処理するとグルタミン酸とアスパラギン酸の減少とGABAとアラニンの増加が起こる。グルタミン酸とアスパラギン酸が消失した時点でGABAとアラニンの増加も停止する(図1)。
2.
このとき嫌気処理から好気処理に転じると、グルタミン酸とアスパラギン酸の含量は急速に回復する。その後再び嫌気処理を行うと、回復したグルタミン酸からGABAがさらに生成し、嫌気処理を続けたときよりもGABA含量は高くなる。好気処理中のGABA含量の変化はわずかだが、アラニンは減少が著しい(図1)。
3.
茶生葉を嫌気処理した後に重窒素標識したグルタミン、アスパラギン酸、アラニンを吸収させると、いずれの重窒素も好気条件下でグルタミン酸にとり込まれ、続く嫌気処理でGABAにとり込まれる。アラニンの重窒素は一部セリンにもとり込まれる(表1、図2)。
4.
従って、茶葉を嫌気処理するとアスパラギン酸とグルタミン酸からGABAとアラニンが生じるが、続く好気処理中にすみやかにアラニンのアミノ基はグルタミン酸に転移し、その後の嫌気処理で一部GABAにとり込まれる。このためにアラニンは好気処理中の減少が激しい。また、好気処理と嫌気処理を繰り返すことによりグルタミンもグルタミン酸を経てGABAに変化させることができる(図2)。
成果の活用面・留意点 1.
グルタミンおよびセリンは茶葉の処理中常にある程度の含量のプールがあり、さらにほかのアミノ酸との関与が示唆される。
図表1 232983-1.gif
図表2 232983-2.gif
図表3 232983-3.gif
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