タイトル | 天敵カブリダニ類に悪影響のない農薬 |
---|---|
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 2002~2003 |
研究担当者 |
篠田徹郎 浜村徹三 |
発行年度 | 2003 |
要約 | ハダニの天敵であるミヤコカブリダニ、チリカブリダニ、ケナガカブリダニに対して、悪影響のない農薬として、殺虫剤11種類、殺ダニ剤3種類、殺菌剤2種類が選択され、これらはナスをはじめ各作物でのIPMに適した薬剤である。 |
キーワード | カブリダニ類、IPM、殺虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、ナス |
背景・ねらい | ナス、トマト、イチゴ等では生物農薬の利用を中心としたIPM(総合的害虫管理)が促進されつつある。天敵製剤が利用できない害虫が発生した場合や、生物的防除法では抑えきれないほど高密度に害虫が発生した場合は薬剤による防除が必要になる。このような場合は利用中の天敵類へ悪影響のない薬剤が望ましい。そこでハダニの天敵である3種類のカブリダニ(ミヤコ、チリ、ケナガ)に対する薬剤の影響を明らかにし、天敵利用下でも使用できる薬剤を選択する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 比較的新しく登録された薬剤を中心に、3種のカブリダニの雌成虫と卵に対し、回転式薬剤散布塔で散布する室内試験によって、その影響を調べた結果、16種類の薬剤で悪影響が認められず、IPMに適した農薬と判断される(表1)。薬剤の影響の判定はIOBC(国際生物防除機構)の室内試験の基準に準拠した。 2. IGR剤(昆虫成長制御剤)ではフルフェノクスロン、クロルフルアズロン、テフルベンズロン、クロマフェノジド、ルフェヌロン、テブフェノジド、シロマジンの各剤で3種カブリダニの雌成虫、卵の全てに悪影響は認められない。 3. 殺虫剤のグループではその他として扱われる薬剤では、ピリダリル、インドキサカルブ、ピメトロジン、オレイン酸ナトリウム剤が全てに悪影響は認められない。 4. 殺ダニ剤ではクロフェンテジン、酸化フェンブタスズ、アセキノシル剤、殺菌剤ではイプロジオン、トリフルミゾール剤で全てに悪影響が認められない。 5. これらの中でナスに登録があり、施設ナスのIPMに利用できる薬剤は、テフルベンズロン、ルフェヌロン、クロマフェノジド、フルフェノクスロン、ピメトロジン、酸化フェンブタスズ、イプロジオン、トリフルミゾールの各剤である。 6. 3種のカブリダニの中ではミヤコカブリダニが有機リン剤やネオニコチノイド系の薬剤に対して強い傾向が認められる。 7. 供試した薬剤の中で、エマメクチン安息香酸、クロルフェナピル、トルフェンピラド、ジコホル、ピリミジフェン剤は、3種カブリダニのすべてに悪影響が強い(表1では省略)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. これらの成果はナス以外の野菜類や果樹類においても利用できるが、その際は登録の有無を確認した上で利用する必要がある。 2. 生物農薬に入るBT剤はカブリダニに対する悪影響はない。 3. 供試カブリダニはチリとミヤコはコパート社系統、ケナガは三重県産である。 |
図表1 | |
カテゴリ | 病害虫 いちご 害虫 生物的防除 天敵利用 トマト なす 農薬 防除 薬剤 |